米国:26年1月住宅着工は大幅増も集合住宅に偏重

~許可件数が減少するなど建設コスト高による先行き不透明感は継続~

桂畑 誠治

要旨
  • 26年1月の住宅着工件数(季節調整済、年率換算)は148.7万戸と、集合住宅が牽引する形で前月比+7.2%(前月:138.7万戸、同+4.8%)と伸長した(11、12月分が合計1.5万戸下方修正)。これは市場予想中央値(ブルームバーグ集計)の134.1万戸(同▲4.5%)および筆者予想の136.2万戸をいずれも大きく上回る結果となった。 1月は、着工の基調を示す「一戸建て住宅着工件数」が93.5万戸、前月比▲2.8%(前月:96.2万戸、同+3.3%)と減少に転じた。一方、「集合住宅の着工件数」は、深刻な在庫不足が続くなか、中旬の寒波到来前の穏やかな天候も追い風となり、55.2万戸、前月比+29.9%(前月:42.5万戸、同+8.1%)と大幅な増加を記録した。一戸建ては、販売の伸び悩みや資材コスト高、労働力不足が制約となっており、停滞している。集合住宅は月次での変動が大きいものの、トレンドとしては着実に水準を切り上げている。
  • 地域別では、西部、中西部が減少した一方、最大市場である南部と北東部が大幅な増加を記録した。これは慢性的な在庫不足に加え、例年よりも穏やかな天候の合間を縫って、州政府による用途地域制限の緩和を受けた集合住宅プロジェクトが進展したことが寄与したとみられる。特に空室率が低い北東部では、需要が強く大幅増に繋がった。
  • 1月の住宅建設許可件数(季節調整済、年率換算)は137.6万戸、前月比▲5.4%(前月:145.5万戸、同+4.8%)と減少した(11、12月分が合計0.7万戸上方修正)。内訳をみると、一戸建て住宅が87.3万戸、同▲0.9%(前月:88.1万戸、同▲1.7%)と減少幅を縮小させた一方、変動の大きい集合住宅が50.3万戸、同▲12.4%(前月:57.4万戸、同+16.7%)と大幅な減少に転じている。建設業者が先行きへの慎重姿勢を続けるなか、許可件数は一戸建て主導で緩やかな減少傾向を辿っている。地域別では、中西部が増加した一方、最大市場の南部、北東部、西部は軒並み減少した。
  • 住宅建設は、不確実性の高まりや高い実質金利を背景に停滞が漂う。金利の高止まりや価格上昇等に伴う販売鈍化で在庫が増加しているほか、トランプ政権による関税賦課や不法移民取り締まり強化に起因するコスト増・需要鈍化への懸念から、建設業者は新規着工に対して慎重な姿勢を崩していない。
  • 26年の住宅販売は、モーゲージ金利の限定的な低下、実質所得の拡大、および建設業者による販促等によって、小幅な増加が見込まれる。しかし、トランプ関税への懸念や不法移民の取り締まり強化に伴う労働力不足・人件費上昇を受け、建設業者の悲観的な見方は維持される可能性が高い。こうした情勢を鑑み、一戸建て住宅着工件数は前年比+1%程度(25年前年比▲1.0%)の小幅な拡大にとどまると予想される。
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桂畑 誠治

かつらはた せいじ

経済調査部 主任エコノミスト
担当: 米国経済

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