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2026.01.23
アジア経済
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トルコ中銀はインフレ鈍化も小幅利下げ、インフレ再燃を警戒の模様
~リラ相場は引き続き「政治」を警戒の模様、中銀の慎重姿勢への対応に当面は注意~
西濵 徹
- 要旨
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- トルコ中銀は1月22日の会合で政策金利を100bp引き下げ、37.00%とした。利下げは5会合連続であり、2024年12月以降では8回目となる。足元のインフレ鈍化を受けて、事前の市場予想においては前回同様150bpの利下げが見込まれていたが、実際には小幅に留めるなど中銀は慎重姿勢を維持した格好である。
- 声明では、インフレ鈍化は主に食料品価格の下落によるもので、基調インフレの上昇も限定的と評価する一方、インフレ期待や企業の価格決定行動が依然としてリスク要因であると指摘した。その上で、今後も物価安定が達成されるまで引き締めスタンスを維持し、必要に応じて利上げも辞さない姿勢を示した。
- 中銀が慎重姿勢を崩さない背景には、最低賃金の27%引き上げやリラ安による輸入物価上昇など、先行きのインフレ再燃リスクがある。リラ相場の下落には政局を巡る不透明感も影響しており、エルドアン大統領が慎重姿勢を崩さない中銀に圧力を強めれば、市場の不安定化リスクが高まる可能性に要注意である。
トルコ中央銀行は、1月22日に開催した定例の金融政策委員会において、政策金利である1週間物レポ金利を100bp引き下げ、37.00%とすることを決定した。同行による利下げ実施は5会合連続であり、2024年12月以降の利下げ局面において計8回目の利下げとなる。利下げ幅を巡っては、2025年7月(300bp)、9月(250bp)、10月(100bp)と段階的に縮小させてきたが、とりわけ10月時点ではインフレが加速したことが利下げ幅の大幅縮小に繋がった。しかし、2025年12月の前回会合では、インフレが再び鈍化に転じたことを受けて、利下げ幅を150bpに拡大させた。さらに、2025年12月のインフレ率は前年同月比+30.9%と前月(同+31.1%)から一段と鈍化したため(注1)、市場では、中銀が引き続き利下げに動くとともに、前回同様に150bpの利下げを実施するとの見方が広がった。こうした状況のなか、中銀は市場予想を下回る小幅な利下げに留めるなど慎重姿勢を維持した格好である。

会合後に公表した声明文の基本的な内容は前回会合時点からほぼ踏襲されたものとなっている。足元のインフレ鈍化については、「食料品価格の下落によってもたらされている」とするとともに、「基調インフレの上昇の動きも限定的」との認識を示している。その一方、「物価を巡る状況に改善の兆しがみられる」としつつ、「インフレ期待と企業による価格決定行動は引き続きインフレ抑制プロセスへのリスク要因になっている」との見方を示している。そして、先行きの政策運営について「需要動向や為替レート、期待を通じて、物価安定を実現するまで引き締めスタンスを維持する」との従来姿勢を繰り返している。その上で、政策決定についても「インフレ見通しと実績、基調的な動きを勘案して決定する」、「会合ごとにインフレ見通しを注視しつつ慎重に見直す」としつつ、「インフレ見通しが目標から大きく乖離した場合は引き締め姿勢を強める」と引き続き利下げの再休止や再利上げにも含みを持たせる考えを示した。また、「信用市場や預金市場で予期せぬ事態が発生した場合は、流動性を巡る状況を注視しつつ、マクロプルーデンス政策を強化する」としつつ、「インフレ目標の実現に向けて、予見可能なデータに基づく透明性の高い枠組みの下で必要な環境整備を図るべく政策決定を行う」との考えをあらためて示した。
前述したように、足元のインフレが鈍化する動きが確認されているにもかかわらず、中銀が基本的な政策スタンスを前回会合時点から維持するなど慎重姿勢を崩さなかった背景には、先行きのインフレに対する懸念が考えられる。中銀は、2026年末時点におけるインフレ見通しを16%と、足元の水準から一段と鈍化するとの見方に据え置いている。こうした状況の一方、政府は今月から最低賃金を27%と大幅に引き上げており、賃金やサービス物価をはじめとする企業の価格決定行動を通じて物価を押し上げることは避けられない。さらに、実質金利(政策金利-インフレ率)は大幅プラスで推移するなど、投資妙味は極めて高いにもかかわらず、足元の通貨リラの対ドル相場はジリ安が続いて日々最安値を更新するなど底がみえない展開をみせている。リラ安による輸入物価の押し上げも物価の高止まりを招くと見込まれ、中銀がインフレの再燃を警戒している様子がうかがえる。リラ相場がジリ安の展開をみせる背景には、政局を巡る不透明感が挙げられる。よって、慎重姿勢を維持する中銀に再びエルドアン大統領が矛先を向ける動きをみせれば、リラ相場を巡って調整の動きが強まるリスクには引き続き要注意である。

注1 1月15日付レポート「トルコはインフレ鈍化もリラ相場は安値更新続く、今後の行方は?」
西濵 徹
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
- 西濵 徹
にしはま とおる
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経済調査部 主席エコノミスト
担当: アジア、中東、アフリカ、ロシア、中南米など新興国のマクロ経済・政治分析
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西濵 徹

