- 要旨
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日経平均株価は先行き12ヶ月54,000円程度で推移するだろう
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USD/JPYは先行き12ヶ月160円程度で推移するだろう
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日銀は利上げを続け、政策金利は26年7月に1.0%、27年前半までに1.25%となろう
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FEDはFF金利を26年3月と6月に引き下げ3.25%とした後、様子見に転じるだろう
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金融市場
- 前営業日の米国市場は休場。USD/JPYは158前半で推移。
注目点
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日銀は1月23日の金融政策決定会合で政策金利の現状維持を決定しよう。「選挙期間中は静観」という掟の存在もあり、政策金利は据え置きが確実視される。
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利上げを決定した12月会合の「主な意見」には以下のとおり、利上げを継続していくべきとの声が掲載されていた。タカ派の高田委員、田村委員のみならず、政策委員会全体として利上げ方針が確認されている。
「実質金利がその均衡値から乖離した状態が続くと、マクロの資源配分に影響が出て将来的に偏りが生じ、持続的な経済成長にも影響を与え得る」
「現状の金融環境が経済実態からみて過度に緩和的になりつつあるため、政策金利を0.25%引き上げることが望ましい。今後も適切なタイミングでの金融緩和度合いの調整が必要である」
「日本の実質政策金利は群を抜いて世界最低水準であり、為替市場を通じた物価への影響も踏まえ、緩和度合いの調整を行うことが妥当と考える」
「これまでの利上げに伴う経済・物価への影響はほとんどなく、中立的な金利水準まで、まだかなりの距離があると言える。当面は数か月に一回のペースを念頭に、経済・物価の反応を確認しながら、金融緩和度合いの調整を進めるべきである」
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前回の利上げ以降、円高方向への転換は起きていない。日銀にとっては都合の悪いことにFedの利下げ観測が後退し、それに伴ってドル高圧力が生じており、結果的に利上げは所期の効果を得られていない。為替に従属的な立場に置かれている日銀は、ドル円が160円を突破するような事態に追い込まれた場合、利上げの検討を加速せざるを得ない。為替次第では4月の金融政策決定会合で利上げに動く可能性は否定できない。政局が落ち着き、春闘の速報が得られ、展望レポートが更新される4月の会合に向けて、利上げ観測が急速に高まる展開は想定しておいた方が良いだろう。
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ここへ来て、物価を取り巻く環境に大きな変化が起きる可能性が浮上してきた。1月19日、高市首相は「食品を2年間は消費税の対象としない」ことについて検討を加速すると明言。これで主要政党が押し並べて消費税減税に傾いたことになり、昨秋の自民党総裁選後、これまで高市首相の口から語られることの少なかった消費税減税が俄かに現実味を帯びている。
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これが実現すれば、消費者物価統計が捕捉する表面的な物価上昇率は、一連のエネルギー価格引き下げ・補助政策と相まって低下に向かう。減税初年度は、名目賃金と物価上昇率の差をとった実質賃金は高い確度でプラス圏浮上が見込まれ、少なくとも短期的には実質賃金のプラス化という悲願が達成されるだろう。もし日銀が表面的な消費者物価上昇率を重視するなら、利上げの必要性は低下する。
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もっとも、消費者物価指数では捕捉することのできない、根底にあるインフレ圧力は高まると考えられ、長い目でみるとインフレをより粘着的にさせるとみられる。過去数年、日本における「物価高対策」とは、増税や歳出削減あるいは金融引き締めによって需要を抑制するのではなく、給付・補助金や減税を通じて家計の購買力をインフレに追いつかせることに重きを置いてきた。結果として、実質賃金がマイナスの中においても、インフレによる購買数量の落ち込みは回避され、実質消費支出は微増を続けてきた。その背景には、値上げにもかかわらず、政策支援によって、思いの外持ち堪える消費実績を見て、企業が更なる値上げを検討する、という構図があったと筆者はみている。消費税減税という景気刺激策も同様であり、企業に値上げを促す力が働くと考えられる。いずれにせよ、インフレを本質的に落ち着かせるものではないと判断される。日銀は消費税減税を除いたベースの物価上昇圧力を判断材料として重視し、利上げを継続していくとみられる。
藤代 宏一
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