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2026.01.13
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米国 失業率が低下、FRBの様子見を支援(12月米雇用統計)
~低雇用・低解雇、低失業率が継続~
桂畑 誠治
- 要旨
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- 25年12月の非農業部門雇用者数(事業所調査)は、前月差+5.0万人(前月同+5.6万人)と鈍化し、市場予想中央値(ブルームバーグ集計)の同+7.0万人(筆者予想同+7.8万人)を下回ったうえ、10、11合計で7.6万下方修正された。25年末にかけて雇用の増加し難い状況が継続していることが確認された。政府部門が同+1.3万人(前月同+0.6万人)と増加ペースが速まった一方、民間部門は同+3.7万人(同+5.0万人)と減速し、市場予想中央値(ブルームバーグ集計)の同+7.5万人を下回った。
- 非農業部門雇用者数は、早期退職プログラムの影響による10月の落ち込みの影響によって、3カ月移動平均で前月差▲2.2万人(前月同▲0.3万人)と減少幅を拡大し、6ヵ月移動平均では前月差+1.5万人(同+0.4万人)と小幅増加にとどまった。10月に、トランプ政権発足後に実施された早期退職プログラムに応募した約14.4万人の連邦政府職員に対する給与支払いが9月末で終了し、雇用者数のカウントから外れたため、連邦政府の職員数が同▲16.2万人減少した。この影響を受けない民間雇用者数をみると、3カ月移動平均で前月差+2.9万人(前月同+5.2万人)、6ヵ月移動平均では前月差+4.3万人(同+3.2万人)と緩やかなペースの増加となった。
- 政府部門では、連邦政府は、前月差+0.2万人(前月同+0.3万人)と小幅増加し、州・地方政府が同+1.1万人と増加したことで、政府全体では同+1.3万人(前月同+0.6万人)と増加ペースを速めた。民間部門では、医療・社会支援は増加ペースが鈍化したが、強い需要や人手不足を背景に、同+3.85万人と引き続き最大の増加となったほか、飲食店(同+2.72万人)、芸術・エンターテイメント・余暇(同+1.74万人)が高い伸びとなった。一方、小売業(同▲2.5万人)、建設業(同▲1.1万人)、製造業(同▲0.8万人)、専門・技術サービス(同▲0.77万人)、輸送・倉庫(同▲0.66万人)、派遣業(同▲0.57万人)が減少した。
- 金融市場では、12月の非農業部門雇用者数が市場予想を下回ったが、失業率が4.4%と市場予想以上に改善したこと等を受け、当面政策金利が据え置かれるとの見方が強まった。FF金利先物の示す1月FOMCでの据え置きの可能性が約96%(前日89%)と上昇した。また、3月FOMCでの据え置きの可能性は、約71%(前日約57%)に上昇し、25bpの利下げの可能性が約28%(前日約39%)に低下した。そして、26年末のFF金利の水準は、3.15%と前日の3.08%から小幅上昇した。2年国債利回りも上昇した。一方、10年国債利回りは低下した(P7)。
- トランプ2.0では、制度や政策の大幅な変更を多数の大統領令によって早期に実行しているため、混乱を招き、米労働市場は軟化している。通商政策では、関税の賦課・撤回・上乗せの実行や、大幅な追加関税賦課などの発言を繰り返すことで不確実性が高まり、企業が採用抑制や人員削減の動きを強め、民間部門雇用の増加ペースを鈍化させた。また、移民規制や不法移民の取り締まりの強化によって、労働供給の抑制に繋がっている。米労働市場は、低雇用、低解雇が続き、均衡した状況となっている。目先、自動車・同部品、大型トラック・同部品、木材、家具等への追加関税、相互関税、50%の鉄鋼・アルミニウム関税、銅関税発動の影響が大きくなっていく。このような中、医薬品、半導体、重要鉱物などへの関税賦課が計画されているほか、各国・地域の通商合意の履行が不十分とトランプ政権が判断すれば、相互関税が一段と引き上げられるリスクがある。更なるコストの増加やサプライチェーンの再構築を背景に、民間での採用抑制や人員削減の動きが継続する可能性がある。一方、米中が、25年10月末にレアアースの輸出規制強化や関税上乗せなどの1年延期で合意したことで、世界規模の貿易戦争の激化は、当面回避された。また、トランプ関税の一部の合法性が問われている裁判の判決にかかわらず、トランプ政権の代替の関税策を警戒して各国・地域が通商合意を順守する可能性が高いほか、商品別関税についても貿易相手国が対抗措置を取れないとみられ、先行きの不確実性が徐々に低下することで、民間雇用の増加ペースは再加速すると見込まれる。
- 12月の失業率(U3、家計調査)は、4.4%(前月4.5%)と、労働参加率が62.4%(62.5%)と低下する形で、市場予想中央値4.5%(筆者予想4.5%)を上回る改善となった。
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本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
- 桂畑 誠治
かつらはた せいじ
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経済調査部 主任エコノミスト
担当: 米国経済
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