米国 製造業は拡大の勢いを失う(11月鉱工業生産)

~ハイテクが拡大も自動車の調整が深まり、全体を押し下げ~

桂畑 誠治

要旨
  • 25年11月の鉱工業生産は、前月比+0.2%(前月同▲0.1%)と市場予想中央値同+0.1%を上回ったが、25年6-10月合計で0.2%p下方改定されたことを考慮すると、市場想定よりも弱い内容。公益が例年よりも暖かい気温を背景に同▲0.4%(同+2.6%)とマイナスに転じた一方、鉱業が同+1.7%(同▲0.8%)と拡大に転じたほか、製造業が同0.0%(同▲0.4%)と横ばいとなり、市場予想中央値同+0.1%を下回った。
  • 製造業生産は、トランプ政権の関税政策による不確実性の強いもと、9月末でのEV補助金の終了を受け、生産調整が行われている。生産の基調(3ヵ月移動平均・3ヵ月前対比年率)をみると、11月に、製造業生産が▲0.2%(前月+1.2%)とマイナスに転じ勢いを失ったことで、鉱工業生産が同+0.2%(同+0.8%)と鈍化した。ハイテク関連が+4.2%(同+3.4%)とプラス幅を拡大したが、自動車が同▲17.0%(同▲7.5%)と大幅に落ち込んだ。EV向けの支援策が終了したことで、自動車生産の調整が大きくなり、全体を押し下げた。
  • 製造業の業種別生産動向を前月比でみると、縮小した業種は、縮小幅の大きい順に、家具・同関連製品(▲2.0%)、印刷・同サポート(▲1.6%)、木材製品(▲1.0%)、自動車・同部品(▲1.0%)、非鉄(▲0.3%)、一次金属(▲0.3%)、加工金属(▲0.3%)、一般機械(▲0.1%)、その他耐久財(▲0.1%)、紙パ(▲0.6%)、化学(▲0.7%)、プラスチック・ゴム(▲0.2%)の12業種と前月13業種から減少した。 一方、拡大した業種は、拡大幅の大きい順に、アパレル・皮革(+2.3%)、食品・飲料・タバコ(+1.2%)、航空宇宙・その他輸送機器(+1.1%)、コンピューター・電子(+0.8%)、電気設備・機器・同部品(+0.8%)、その他製造業(+0.5%)、石油・石炭製品(+0.4%)、繊維(+0.3%)の8業種(前月7業種)と増加した。
  • 前年比で拡大した業種は、一次金属、加工金属、一般機械、コンピューター・電子、航空宇宙・その他輸送機器、食品・飲料・タバコ、石油・石炭製品、化学の8業種(前月8業種)にとどまり、製造業全体で+1.9%(前月2.1%)と緩やかな拡大を続けている。
  • 25年の製造業生産は、4月の自動車関税、相互関税の発動、5月の自動車部品関税の発動、8月の相互関税上乗せ等を受けた需要鈍化やコスト増加、サプライチェーンの調整などによって抑制されているものの、駆け込みによる年初の拡大、堅調な国内需要、低い在庫水準等によって押し上げられ、前年比+0.9%(24年▲0.5%、23年▲0.5%)と増加に転じると見込まれる。26年は、減税による個人消費や設備投資の拡大を受け、+1.2%の拡大が予想される。
こちらのレポートについては、PDF形式によるご提供となっております。
右上にある「PDF閲覧のアイコン」をクリックしてご覧下さい。

本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。

桂畑 誠治

かつらはた せいじ

経済調査部 主任エコノミスト
担当: 米国経済

執筆者の最近のレポート

関連テーマのレポート

関連テーマ