米国 大幅な低下も統計に歪みの恐れ(11月CPI)  

~政府機関の一部閉鎖は11月分のデータ収集にも影響~

桂畑 誠治

要旨
  • 政府機関の一部閉鎖(10月1日から11月12日)によって、この間データ収集ができず、10月分のCPIは公表されなかった。今回11月分の前年比の数値が公表されたが、前月比の数値は自動車関係、エネルギー関係などを除き公表されなかった。さらに、11月分に関しても、通常月初めから行われるデータ収集が11月14日に開始されたため、データに歪みが生じている可能性が高く、幅を持って評価する必要がある。なお、12月CPI統計は、26年1月13日に公表される予定である。
  • 25年11月の消費者物価(総合CPI)は、前年同月比+2.7%(9月同+3.0%)と市場予想中央値同+3.1%(筆者予想同+3.1%)を下回った。エネルギーが+4.2%(同+2.8%)と上昇した一方、食品が+2.6%(同+3.1%)と低下したほか、コアCPIは+2.6%(同+3.0%)と低下し、市場予想中央値の同+3.0%(筆者予想同+2.9%)を下回った。
  • コアCPIでは、財コアが+1.4%(9月同+1.5%)と低下したほか、サービスコアが+3.0%(同+3.5%)と大幅に低下し、全体で+2.7%(同+3.0%)と低下ペースが加速した。 財コアでは、衣服が上昇に転じたほか、医薬品など医療用品が上昇した。また、情報機器が下落幅を縮小した。一方、教材が下落に転じたうえ、家庭用耐久品・消耗品、娯楽用品、新車、中古車、自動車部品、アルコール飲料、その他財が低下した。
  • サービスコアでは、病院・関連サービス、インターネット、その他個人向けサービスが上昇したほか、レンタカー、電話サービスが下落幅を縮小した。また、教育関連サービスは同率の伸びを続けた。一方、航空運賃が下落に転じたほか、ホテルは下落幅を拡大した。また、賃貸料(+3.0%:9月+3.4%)、帰属家賃(+3.4%:+3.8%)、専門医療サービス、上下水道・ゴミ収集サービス、医療保険、余暇サービスが低下した。
  • コアCPIの上昇モメンタムをみると、6ヵ月前対比年率で+2.6%(9月+3.0%)と低下したほか、3ヵ月前対比年率で+1.6%(前月+3.6%)と大幅に低下しており、短期的なインフレ圧力が弱まった可能性を示した。
  • 金融市場では、予想を下回ったCPI統計に一旦反応したものの、統計の歪みが意識され、限定的な反応にとどまった。FF先物は、利下げの織り込み度合いを若干高めた。ドルは対円、対ユーロで下落したものの上昇に転じ、対円で下落幅を縮小、対ユーロでは上昇した。10年国債金利、2年国債金利は、上下に変動したが、統計公表前とほぼ変わらない水準に戻った。主要株価指数は、一旦上昇したものの、その後上げ幅を縮小した。
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桂畑 誠治

かつらはた せいじ

経済調査部 主任エコノミスト
担当: 米国経済

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