米製造業生産は緩やかな拡大基調維持(9月鉱工業生産)

~自動車が弱まるもと、ハイテク関連が下支え役に~

桂畑 誠治

要旨
  • 25年9月の鉱工業生産は、前月比+0.1%(前月同▲0.3%)と市場予想中央値と一致したが、25年4-8月合計で0.3%p下方改定されたことを考慮すると、市場想定よりも弱い内容。公益が電力使用量の増加を背景に同+1.1%(同▲3.0%)とプラスに転じた一方、鉱業が同0.0%(同+0.4%)と鈍化したほか、製造業が同0.0%(同+0.1%)と減速し、市場予想中央値と一致した。
  • 製造業生産は、トランプ政権の関税政策による不確実性の強いもと、大幅な生産調整を回避している。生産の基調(3ヵ月移動平均・3ヵ月前対比年率)をみると、9月に、鉱工業生産が同+1.1%(同+1.6%)鈍化したが、製造業生産は+1.3%(前月+1.1%)とプラス幅を拡大し、勢いを若干強めた。自動車が同▲0.8%(前月+3.9%)と落ち込んだ一方、ハイテク関連が+9.5%(同+7.0%)とプラス幅を拡大し、全体を支えた。トランプ関税の悪影響を回避するための駆け込み需要が収束したが、国内需要の底堅さを映じて、製造業生産が拡大モメンタムを維持している。
  • 9月の設備稼働率は、生産能力の拡大が続くなか、生産の鈍化によって製造業が75.5%(前月75.6%)と低下し、鉱工業は75.9%(前月75.9%)と横ばいとなった。製造業、鉱工業の稼働率は、23年よりも低い水準にとどまっているうえ、鉱工業は長期平均(1972~2024年)より3.6%p低い水準にとどまっている。
  • 製造業の業種別生産動向を前月比でみると、縮小した業種は、縮小幅の大きい順に、木材製品(▲3.5%)、自動車・同部品(▲2.2%)、印刷・同サポート(▲1.3%)、その他製造業(▲1.0%)、その他耐久財(▲0.5%)、非鉄(▲0.4%)、紙パ(▲0.4%)、アパレル・皮革(▲0.3%)、化学(▲0.2%)、一般機械(▲0.1%)、繊維(▲0.1%)、石油・石炭製品(▲0.1%)の12業種と前月10業種から増加した。一方、拡大した業種は、拡大幅の大きい順に、電気設備・機器・同部品(+1.8%)、一次金属(+1.4%)、航空宇宙・その他輸送機器(+1.4%)、加工金属(+1.2%)、コンピューター・電子(+0.7%)、家具・同関連製品(+0.3%)、プラスチック・ゴム(+0.3%)の7業種(前月8業種)と減少した。食品・飲料・タバコは0.0%となった。
  • 25年の製造業生産は、4月の自動車関税、相互関税の発動、5月の自動車部品関税の発動、8月の相互関税上乗せ等を受けた需要鈍化やコスト増加、サプライチェーンの調整などによって抑制されているものの、駆け込みによる年初の拡大、堅調な国内需要、低い在庫水準等によって押し上げられ、前年比+0.9%(24年▲0.5%、23年▲0.5%)と増加に転じると見込まれる。26年は、減税による個人消費や設備投資の拡大を受け、+1.2%の拡大が予想される。
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桂畑 誠治

かつらはた せいじ

経済調査部 主任エコノミスト
担当: 米国経済

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