米国10月小売売上は自動車の不振、政府閉鎖で鈍化  

 ~それでも、小売の基調は堅調さを維持~

桂畑 誠治

要旨
  • 25年10月の小売・飲食サービス売上高は、前月比0.0%(前月同+0.1%)と、市場予想中央値(ブルームバーグ集計)の同+0.1%(筆者予想同+0.1%)を下回ったうえ、8、9月に合計0.2%下方修正された。前年比では、小売・飲食サービス売上高は+3.5%(前月同+4.2%)と鈍化した。 10月の小売売上は、9月にEV向け補助金の終了した自動車販売や、価格の下落したガソリン販売が減少したほか、政府機関の閉鎖の影響を受けた飲食店などの売上が減少した。
  • 業態別の前月比の動向をみると、薬局、ガソリンスタンド、飲食店が減少に転じたほか、自動車・同部品、建設資材が減少幅を拡大した。一方、家具、家電、食品・飲料、衣料品、スポーツ用品・本・趣味用品、無店舗小売が増加に転じたうえ、一般小売が加速した。その他小売は鈍化したが、高い伸びを続けた。
  • 主要13業態のうち、縮小した業態が5業態(前月7業態)に減少し、拡大した業態が8業態(前月5業態)と増加し、多くの業態で拡大した。縮小した5業態は、自動車・同部品、建設資材、薬局、ガソリンスタンド、飲食店。一方、拡大した8業態は、家具、家電、食品・飲料、衣料品、スポーツ用品・本・趣味用品、一般小売、その他小売、無店舗小売。
  • 小売売上統計の他の分類では、足元での労働市場の軟化傾向や消費者マインドの悪化傾向にもかかわらず、実質所得や資産の増加、セールの前倒しなど企業の販促等を背景に加速した。自動車を除く小売・飲食サービス売上高は、前月比+0.4%(前月同+0.1%)と加速し、市場予想中央値同+0.2%(筆者予想同+0.2%)を上回ったが、8、9月に合計0.2%下方修正されており、予想通りの内容。自動車・ガソリンを除く小売・飲食サービス売上高は、同+0.5%(前月同0.0%)と加速し、市場予想中央値同+0.4%(筆者予想同+0.3%)を上回ったが、8、9月に合計0.1%下方修正された。
  • 一方、GDPの算出に使用されるコントロール・グループ(自動車・ガソリン・建材・飲食店を除く小売・飲食サービス売上高)は、前月比+0.8%(前月同▲0.1%)と市場予想中央値の同+0.4%(筆者予想同+0.5%)を大幅に上回った(8、9月合計0.1%上方修正)。また、小売売上高の基調を判断するうえで重要なコア小売売上高(自動車・ガソリン・建材を除く小売・飲食サービス売上高)は、同+0.6%(同0.0%)と加速した。3ヵ月移動平均・3ヵ月前対比年率で+5.7%(前月+6.1%)と高い伸びを保っており、小売売上の増加基調は力強さを維持している。ただし、10月は、前期比年率+3.3%と7-9月期の前期比年率+6.1%から減速している。10-12月期の小売売上は、関税政策や移民の取り締まり強化等のトランプ政権の政策によって消費者の不安感が高まるなか、EV支援策の終了、政府機関の一部閉鎖の影響を受け、鈍化していると判断される。
  • 10-12月期の実質個人消費は、実質給与所得の増加傾向、企業の販促等によって支えられるものの、政府機関の一部閉鎖によるサービス消費の鈍化、価格上昇、節約志向の強まりを背景に、前期比年率+2.0%(7-9月期同+2.8%見込み)と減速していると予想される。
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桂畑 誠治

かつらはた せいじ

経済調査部 主任エコノミスト
担当: 米国経済

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