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2025.12.17
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雇用が増加に転じたが失業率は更に上昇(11月米雇用統計)
~労働市場の一段の軟化を示すも統計に歪みの可能性~
桂畑 誠治
- 要旨
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- 政府機関の一部閉鎖によって、10月の失業率などの家計調査が困難となったため、10月の雇用統計の公表が見送られた。10月の非農業部門雇用者数など事業所調査は、今回11月分と同時に公表された。家計調査で10月分のデータが欠落した影響や、11月分は家計調査と事業所調査のデータ収集期間が延長されたうえ、回答率が低下した影響等もあり、10、11月の雇用統計に歪みが生じている可能性があることから、幅を持って、評価する必要がある。12月の雇用統計は、2026年1月9日(金)に発表される予定。
- 25年11月の非農業部門雇用者数(事業所調査)は、前月差+6.4万人(前月同▲10.5万人)と増加に転じ、市場予想中央値(ブルームバーグ集計)の同+5.0万人(筆者予想同+7.6万人)を上回った。政府部門が同▲0.5万人(前月同▲15.7万人)と減少幅を縮小したうえ、民間部門は同+6.9万人(同+5.2万人)と加速し、市場予想中央値(ブルームバーグ集計)の同+5.0万人を上回った。
- 今回初めて公表された10月の非農業部門雇用者数は、前月差▲10.5万と大幅に減少したが、これはトランプ政権発足後に実施された早期退職プログラムに応募した約14.4万人の連邦政府職員に対する給与支払いが9月末で終了し、雇用者数のカウントから外れたため、連邦政府の職員数が同▲16.2万人減少したことが主因であり、雇用情勢の急激な悪化を示すものではない。この影響によって、非農業部門雇用者数は、3カ月移動平均で前月差+2.2万人(前月同▲0.8万人)、6ヵ月移動平均では前月差+1.7万人(同+0.9万人)と小幅増加にとどまった。一方、連邦政府職員の大幅な変動の影響を受けない民間雇用者数をみると、3カ月移動平均で前月差+7.5万人(前月同+5.5万人)と加速したが緩やかな増加ペースにとどまっているほか、6ヵ月移動平均では前月差+4.4万人(同+4.4万人)と緩やかなペースで変わらなかった。
- 民間部門では、医療・社会支援が強い需要や人手不足を背景に、同+6.4万人と引き続き最大の増加となったほか、建設業(同+2.8万人)、専門・技術サービス(同+1.15万人)が高い伸びとなった。また、小売業(同+0.62万人)、飲食店(同+0.56万人)、その他サービス(同+0.3万人)など消費関連や、不動産・リース(同+0.38万人)等が増加した。一方、輸送・倉庫(同▲1.77万人)、芸術・エンターテイメント・余暇(同▲1.42万人)、保険(同▲0.92万人)、製造業(同▲0.5万人)、派遣業(同▲0.5万人)が減少した。
- 金融市場では、11月の非農業部門雇用者数が市場予想を上回ったが、失業率が4.6%に上昇したこと等を受け、FF金利先物の示す3月の25bpの利下げの可能性が約45%(前日約42%)に上昇し、据え置きの可能性が約46%(前日約49%)に低下したが限定的。26年末のFF金利の水準は、3.06%と前日の3.08%から小幅低下にとどまった。また、2年国債金利、10年国債金利は上げ下げを繰り返しながら、低下した(P6)。ドルは主要通貨に対して一時的に弱含んだが、直ぐにドルが買い戻されるなど反応は限定的だった。主要株価指数は一旦上昇したものの、下落に転じ、水準を切り下げた。
- トランプ2.0では、制度や政策の大幅な変更を多数の大統領令によって早期に実行しているため、混乱を招き、米経済は減速している。通商政策では、関税の賦課・撤回・上乗せの実行や、大幅な追加関税賦課などの発言を繰り返すことで不確実性を高めたため、企業が採用抑制や人員削減の動きを強め、民間部門雇用の増加ペースを鈍化させた。また、移民規制や不法移民の取り締まりの強化によって、労働供給の抑制に繋がっている。
- 11月の失業率(U3、家計調査)は、4.6%(10月なし、9月4.4%)と市場予想中央値4.5%(筆者予想4.4%)を上回り、21年9月の4.7%以来の高い水準となった。再び職探しを始めた人の増加によって失業者が増加した。労働参加率も62.5%(10月なし、9月62.4%)と上昇した。
- 家計調査で10月分のデータが欠落した影響や、11月分は家計調査と事業所調査のデータ収集期間が延長されたうえ、回答率が低下した影響等もあり、歪みが生じている可能性がある。この間の失業保険申請件数などは、低い水準で安定を続けていたことから、11月の労働市場の軟化は限定的だったと判断される。今回の失業率の上昇などを受け早計に労働市場の判断をせず、12月以降の雇用統計を含む、多くの統計で労働市場の状況を確認していくことが重要である。
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本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
- 桂畑 誠治
かつらはた せいじ
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経済調査部 主任エコノミスト
担当: 米国経済
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