米国 9月小売は予想を下振れも基調しっかり

  ~個人消費の堅調持続を示唆~

桂畑 誠治

要旨
  • 25年9月の小売・飲食サービス売上高は、前月比+0.2%(前月同+0.6%)と、市場予想中央値(ブルームバーグ集計)の同+0.4%(筆者予想同+0.5%)を下回った。前年比では、小売・飲食サービス売上高は+4.3%(前月同5.0%)と鈍化したが、高い伸びを保っている。 9月の小売売上は、足元での労働市場の軟化傾向のほか、6月から8月にかけて価格上昇を警戒した購入意欲の高まりやセールの効果で高い伸びを続けた後にもかかわらず、実質所得や資産の増加、企業の販促等を背景に拡大した。
  • 業態別の前月比の動向をみると、自動車・同部品、衣料品、スポーツ用品・本・趣味用品、無店舗小売が減少に転じたほか、家電が減少幅を拡大した。また、建設資材、食品・飲料、飲食店が鈍化した。一方、家具、薬局、その他小売が増加に転じたうえ、ガソリンスタンドが加速した。また、一般小売は同率の伸びを維持した。 主要13業態のうち、縮小した業態が5業態(前月4業態)に増加し、拡大した業態が8業態(前月9業態)と減少したが、多くの業態で拡大した。縮小した5業態は、自動車・同部品、家電、衣料品、スポーツ用品・本・趣味用品、無店舗小売。一方、拡大した8業態は、その他小売、ガソリンスタンド、家具、建設資材、薬局、一般小売、食品・飲料、飲食店。
  • 小売売上統計の他の分類でも、8月までの高い伸びの影響で鈍化した。自動車を除く小売・飲食サービス売上高が、前月比+0.3%(前月同+0.6%)と市場予想中央値(筆者予想同+0.4%)と一致した(7、8月合計0.1%下方修正)。自動車・ガソリンを除く小売・飲食サービス売上高は、同+0.1%(前月同+0.6%)と市場予想中央値同+0.3%(筆者予想同+0.3%)を下回った(7、8月合計0.1%下方修正)。また、GDPの算出に使用されるコントロール・グループ(自動車・ガソリン・建材・飲食店を除く小売・飲食サービス売上高)は、前月比▲0.1%(前月同+0.6%)と市場予想中央値の同+0.3%(筆者予想同+0.4%)に反して減少した(6、7月合計0.1%下方修正)。 小売売上高の基調を判断するうえで重要なコア小売売上高(自動車・ガソリン・建材を除く小売・飲食サービス売上高)は、同+0.1%(同+0.7%)と減速した。しかし、3ヵ月移動平均・3ヵ月前対比年率で+6.3%(前月+6.2%)と高い伸びとなり、小売売上の増加基調は力強さを維持している。四半期でも、7-9月期は前期比年率+6.3%と4-6月期同+5.2%から加速している。以上より、小売売上は、関税政策、移民の取り締まり強化等によって消費者の不安感が高まるなか、堅調さを維持したと判断される。
  • 7-9月期の実質個人消費は、価格上昇や節約志向の強まり、悪天候による抑制にもかかわらず、実質給与所得の増加傾向、トランプ関税による大幅な価格上昇懸念を背景とした駆け込み、企業の販促等によって支えられ、前期比年率+3.1%(4-6月期同+2.5%)と加速し、堅調さを保ったと予想される。
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桂畑 誠治

かつらはた せいじ

経済調査部 主任エコノミスト
担当: 米国経済

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