- 要旨
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日経平均株価は先行き12ヶ月49,000円程度で推移するだろう
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USD/JPYは先行き12ヶ月160円程度で推移するだろう
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日銀は利上げを続け、2026年後半に政策金利は1.0%に到達しよう
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FEDはFF金利を26年前半までに3.5%へと引き下げ、その後は様子見に転じるだろう
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金融市場
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前営業日の米国市場は、S&P500が+1.5%、NASDAQが+2.7%で引け。VIXは20.5へと低下。
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米金利はカーブ全般で金利低下。予想インフレ率(10年BEI)は2.227%(▲2.4bp)へと低下。
実質金利は1.780%(▲1.4bp)へと低下。長短金利差(2年10年)は+52.4bpへとプラス幅縮小。 -
為替(G10通貨)はUSDが堅調。USD/JPYは157半ばへと上昇。コモディティはWTI原油が58.8㌦(+0.8㌦)へと上昇。銅は10773.0㌦(▲4.5㌦)へと低下。金は4094.2㌦(+14.7㌦)へと上昇。
注目点
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USD/JPYの先行き12か月見通しを160円とする。USD/JPYが142円台で推移していた2025年4月21日に筆者が示した150円という予想値も「円安予想」であったが、高市政権発足後の円安進行に鑑みて水準調整が必要と判断した。
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円安を予想する背景は、①Fedの利下げ観測後退を見込んでいること、②日本の貿易・サービス収支の赤字が継続すること、③日銀の利上げ余地が小さいことである。
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Fedの利下げ観測を巡っては、現在のFF金利先物が示唆する下方ターミナルレートが3%付近にあり、追加で4回の利下げが織り込まれた状態にある。もっとも、12月FOMCではデータが不足する中、金融市場も安定していることから、利下げがスキップとなる可能性がある。また今後、政府機関閉鎖の解除に伴って発表される最新データが米経済の底堅さを示すものであれば、2026年の予想利下げ経路は上方修正される可能性があろう。ただし悩ましいのは、K字型経済をFedがどう取り扱うかである。現在の米経済は、雇用の量的拡大が風前の灯火となり、消費者心理も悪化しているにもかかわらず、個人消費が堅調に推移するなど全体の成長軌道は崩れていない。8月時点で実質個人消費支出は3ヶ月前比年率で+2.4%と堅調な伸びを示していた。その背景には株高を後ろ盾とするごく一部の富裕層の高額消費があるとされており、マクロ的な弱さを覆い隠しているとの指摘も多い。また消費以外でも、データセンターなどAI関連投資の急増という局所的事象により、全体の弱さが見えにくくなっているとの指摘もある。Fedが富裕層消費、AI需要を取り除いて政策判断をするなら、市場予想どおり3%近辺まで利下げが進むことになりそうだが、筆者は景気が底堅さを維持する中、インフレに対する警戒もあり、3.5%付近で利下げを終了するとみている。そうであれば、ドルは円を含む主要通貨に対して上昇するだろう。
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②は改めて言及するまでもないが、実需のドル買いが外為市場における円需給の悪化に繋がっている。貿易収支については柏崎刈羽原発の一部再稼働によって鉱物性燃料の輸入減少が期待されるところではあるが、原子力規制委員会の安全審査に合格し、地元同意の手続き完了を待っている段階にある泊、東海第2原発の再稼働時期について不透明感はなお残存している。鉱物性燃料の輸入減少を通じた貿易収支の好転が実需の円売り圧力を和らげるには、まだ時間的距離がある。次にサービス収支に目を向けると、その他サービスに計上される、いわゆる「デジタル赤字」を旅行収支の黒字が相殺する構図にあり、一方的な赤字拡大は回避できている。ただし、米国のメガテック企業が提供するサービスは独占に近い寡占であることから価格競争が働きにくく、いわば「言い値」で購入せざるを得ない事情があり、赤字縮小は見込み難い。他方、旅行収支は外生的要因で変動することが多く、今年6・7月のような風説(大地震到来)や現在進行中の中国政府による渡航自粛呼びかけなどによって減少することもある。インバウンド需要は、デジタル赤字を相殺する存在としては心許ない。貿易・サービス収支の赤字が続く以上、日米金利差の縮小にもかかわらず、円安が進むという現在の状況が続く可能性がある。

- そして日銀の利上げ余力の乏しさも円売りを促す可能性がある。現在の政策金利水準0.5%に対して、金利市場で織り込まれているターミナルレート(今次利上げの最終到達点、2年先1年金利より算出)は約1.25%であり、利上げの余力は3回というのが市場参加者の中心的な見方である。上述のとおり2025年入り後、日米金利差は為替の説明力を失っているため、日銀の利上げが為替に影響を与えるかはそもそも微妙であるが、仮に日銀が次回利上げに踏み切ると、為替市場では利上げの残り回数(の少なさ)に焦点が移り、寧ろ円売りが膨らむ可能性があるだろう。これらを踏まえ、筆者はUSD/JPYが160円近辺で推移すると予想する。
藤代 宏一
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