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2025.11.04
米国経済
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米国 不確実性で製造業の縮小持続(10月ISM製造業)
~11月以降は米中貿易摩擦の緩和が押上げに寄与する可能性~
桂畑 誠治
- 要旨
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- 25年10月のISM製造業景気指数(季節調整値)は、48.7(前月49.1)と市場予想中央値の49.5への上昇に反して前月比0.4%ポイント低下、米製造業部門の縮小ペースの小幅加速が示された。国内需要に支えられながらも、関税賦課などトランプ政権の政策による不確実性の高まりやコストの上昇によって、拡大縮小の分岐点である50を8ヵ月連続で下回っており、米国の製造業部門の緩やかな縮小の継続を示している。発表元によると、製造業はトランプ政権の通商政策を巡る全体的な不透明感への懸念が強いままであると評価した。
- トランプ政権は、10月14日から輸入木材・製材に10%、布張り家具製品、キッチンキャビネットに25%の関税を課した。中国との貿易協議が難航するなか、中国がレアアースの輸出管理を強化することを発表、これを受けトランプ大統領は、中国に11月1日から100%の関税を上乗せすると発表し、先行き不透明感が強まった。
- 10月の景気指数は、関税引き上げや貿易摩擦が続くなか、入荷遅延がさらに上昇したほか、新規受注が減少幅を縮小し、雇用が減少ペースを鈍化したものの、生産が縮小に転じたうえ、在庫が減少幅を拡大したことで、押し下げられた。一方、仕入価格指数は低下し、コスト増加圧力の緩和が示された。
- 10月のISM製造業景気指数の構成項目別の動向をみると、前月比で、新規受注、入荷遅延、雇用が上昇した一方、生産、在庫が低下した。構成項目別の総合指数への寄与度では、入荷遅延が前月比+0.32%pt、雇用が前月比+0.14%pt、新規受注が前月比+0.10%ptの押し上げ寄与となったものの、生産が前月比▲0.56%pt、在庫が前月比▲0.38%ptの押し下げ寄与となり、全体で▲0.4%ポイント低下した。
- 新規受注は、49.4(前月48.9)と上昇したが、縮小を示す水準にとどまり、需要縮小の持続が示された。拡大した業種数は18業種中4業種(同6業種)と減少し、縮小は11業種(同9業種)に増加した。拡大した業種は、一次金属、プラスチック・ゴム製品、加工金属、輸送機器の4業種。また、雇用は、46.0(同45.3)と上昇したが、50を下回ったままである。雇用の増加した業種数は18業種中で3業種(同1業種)にとどまった。事業環境の不透明感の強まりを背景に、レイオフ、自然減、採用凍結を中心とした人員削減が継続されている。さらに、入荷遅延は、54.2(同52.6)と上昇し、サプライヤーへの納入がさらに遅れたことが示された。需要の持ち直しや関税引き上げによる納品の遅れが影響したと考えられる。
- 一方、生産は、48.2(同51.0)と縮小を示す水準に再低下した。拡大した業種数が4業種(同8業種)に減少し、縮小した業種が12業種(同6業種)と大幅に増加した。新規受注、受注残が減少を示す水準にとどまるなか、生産の脆弱な状況が続いている。また、在庫は、45.8(前月47.7)と50を下回って低下しており、在庫の縮小ペース加速が示された。今後、生産の拡大に繋がる一方、コスト増の影響が反映され易くなる可能性が高い。
- インフレの動向を示す仕入価格指数は、58.0(同61.9)と低下し、コスト増加圧力の緩和を示した。商品別では、鉄鋼、ポリプロピレン樹脂、鉄スクラップ等が下落した一方、アルミニウム、鉄鋼、ステンレス鉄鋼、鉄鋼製品、銅・同製品、電子部品等の価格が上昇した。供給不足品では、電子部品、電気部品、希土類磁石、労働者、重要鉱物が挙げられた。
- 10月に拡大した業種は、全18業種のうち一次金属、食品・飲料・タバコ、輸送機器、プラスチック・ゴム製品、加工金属、非鉄の6業種(前月5業種)に増加(下線は拡大・縮小が2カ月以上続いたことを示す)。主要6業種で拡大した業種は、食品・飲料・タバコ、輸送機器の2業種と、前月の1業種から増加した。一方、縮小した業種は、繊維、アパレル・皮革製品、家具・同関連、紙製品、印刷・関連サポート活動、木材製品、石油・石炭製品、電気機器・電化製品・電気部品、化学製品、一般機械、その他製造業、コンピューター・電子機器の12業種(前月11業種)に増加した。
- 今後の製造業部門の活動は、分野別関税で半導体、医薬品、重要鉱物等への関税賦課が予想され、不確実性が残存するものの、①主要な貿易相手国と通商協議で進展したため、対抗措置がほとんど行われずに相互関税の上乗せが実行されたこと、②国内需要が底堅く推移していること、③米中が10月末に中国のレアアースの輸出規制の1年先送り、米国の対中関税の10%引き下げ等で合意したこともあり、製造業景気指数は26年初に向けて拡大を示す水準を回復すると予想される。
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本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
- 桂畑 誠治
かつらはた せいじ
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経済調査部 主任エコノミスト
担当: 米国経済
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