- 要旨
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- 日経平均株価は先行き12ヶ月49,000円程度で推移するだろう。
- USD/JPYは先行き12ヶ月150円程度で推移するだろう。
- 日銀は利上げを続け、2026年前半に政策金利は1.0%に到達しよう。
- FEDはFF金利を26年前半までに3.5%へと引き下げ、その後は様子見に転じるだろう。
金融市場
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前営業日の米国市場は、S&P500が▲0.2%、NASDAQが▲0.8%で引け。VIXは20.8へと上昇。
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米金利はツイスト・スティープ化。予想インフレ率(10年BEI)は2.308%(▲1.4bp)へと低下。
実質金利は1.724%(+1.6bp)へと上昇。長短金利差(2年10年)は+54.9bpへとプラス幅拡大。
- 為替(G10通貨)はUSDが中位程度。USD/JPYは152半ばで推移。コモディティはWTI原油が58.7㌦(▲0.8㌦)へと低下。銅は10578.0㌦(▲242.5㌦)へと低下。金は4138.7㌦(+30.1㌦)へと上昇。
経済指標等
- 9月米NFIB中小企業楽観指数は98.8へと2.0pt低下。注目の雇用計画は+16へと1pt改善し、3ヶ月平均値も水準を切り上げている。人件費計画は横ばい推移が続いているが、足もとで企業の採用意欲が持ち直しつつあることを示唆しており、安心感がある。
注目点
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筆者が世界景気と日本株の先行きを占う上で、定点観測する工作機械受注統計(日本工作機械工業会)は一時的な停滞を経て8月に増加経路に復した後、9月もその傾向を維持した。米国の通商政策に対する不透明感が後退する中、米国向けと中国向けが底堅さを維持している。国内の設備投資計画が堅調であることを踏まえると、回復の流れが頓挫する可能性は低いだろう。
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10月9日に発表された9月の受注額(原数値)は1378億円、前年比伸び率は+9.9%であった。筆者作成の季節調整値は前月比+1.4%と増加し、3ヶ月平均値でも+0.8%とプラス基調を維持。単月の内訳は「国内向け」の季節調整済み前月比が+12.9%と2ヶ月ぶりに増加し、3ヶ月平均でも同+1.6%とプラスに転じ、前年比も+3.0%と6ヶ月ぶりにプラス圏に浮上。人手不足が足かせとなり、設備投資の進捗が遅々としている可能性があるものの、設備投資意欲はそれなりに強い。関連投資の機械受注に目を向けると、受注残高および手持ち月数が積み上がっており、新規の受注が抑制されている可能性が示唆されている。他方、「外需」は前月比▲2.8%と2ヶ月連続で減少したものの、3ヶ月平均では+0.3%と増加を続け、前年比では+13.3%と11ヶ月連続でプラスを維持した。地域別詳細は確報を待つ必要があるが、8月までの傾向から判断すると韓国・台湾向けの弱さが続いたものの、米国と中国向けが増加基調を維持したとみられる。
- 日本の工作機械受注は、そのサイクルがグローバル製造業PMIやアナリストの業績予想(TOPIX予想EPS)と連動性を有する。9月グローバル製造業PMIは50.8と好不況の分かれ目の目安とされる50を2ヶ月連続で上回った。通商政策の不透明感が後退する中、新規受注が回復し、各国で景況感の改善がみられた。そうした下で、TOPIXの予想EPSは企業の資本効率改善に向けた取り組みが奏功していることも相まって増加基調を維持している。
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製造業PMIを地域別にみると、日本は48.5へと1.2pt低下した。トランプ関税による直接的な影響は限定的である一方、AI向け以外の半導体需要が力強さを欠き、製造業全体として加速に乏しい展開が続いている。もっとも、個人消費が緩慢ながらも回復傾向にあることを踏まえれば、大崩れは想定しにくい。この間、IT関連財の生産集積地である台湾は46.8へと0.6pt低下した。輸出受注や生産統計の方向感と相違がみられ解釈が難しい面はあるが、(PMIの調査項目である)新規輸出受注の落ち込みに鑑みると、半導体にかかるトランプ関税を見越した駆け込み需要の反動が始まっているのかもしれない。この間、韓国は50.7へと2.4pt上昇し、2025年1月以来の50回復となった。
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米国は52.0へと1.0pt低下したものの、はっきりと50を上回っている。類似指標のISM製造業(49.1)との乖離が目立っているため、強さを割り引いてみる必要はあるが、AI向け半導体およびデータセンターの投資拡大が続く中、自動車販売も底堅さを維持しており、そうした下で景況感は良好に推移している。ユーロ圏は49.8へと0.9pt低下して再び50を割れた。財政拡張に舵を切ったドイツが49.5(8月49.8)と苦境から脱出しているものの、政局不透明感の強いフランスが48.2(8月50.4)へと軟化したことで域内景気を下押しした。対米輸出の落ち込みに対する警戒感もあって、各国政府が自国産業の梃入れに動いているが、基幹産業である自動車の生産は精彩を欠いており、加速感に乏しい状況にある。事実、欧州の新車販売台数はコロナ期に生じた断層が埋まる気配は感じられない。
- 中国は51.2へと0.7pt上昇。既往の不動産市況悪化とトランプ関税対策として、中国当局が景気対策に本腰を入れ始めたことが下支えとなっている模様。マネー関連統計に目を向けると、8月の社会融資総量(新規フローの12ヶ月平均値)は前月比▲1.2%と9ヶ月ぶりに減少も、大きくみれば増加基調を維持している。社会融資総量残高も前年比+8.8%と底打ちが明確化している。新規融資のGDP比(前年差)をとった通称クレジットインパルスをみても+1.6ptとプラス圏で推移しており、政策態度の変化がマネー統計に表面化してきた可能性が窺える。この指標が日本株の先行指標として機能してきた経緯を踏まえると、現在の株高は一定の裏付けを伴っていると言える。
- 工作機械受注サイクルの位置取りを確認するために、縦軸に受注額の水準(36ヶ月平均値からの乖離)、横軸に方向感(6ヶ月前比)をとった循環図をみると、直近数ヶ月は中心点付近で小さな渦を描いている。過去の経験則に従うなら今後は右方向へ進んだ後、上向き方向に進路をとると予想され、回復傾向がはっきりとしてくるだろう。

- 足元の国内株式市場は高市ラリーの短期的反動が意識される中、公明党の連立離脱に伴う政局不透明感によって調整気配が漂っている。仮に高市首相が誕生したとしても政権基盤が盤石でない中、政策遂行能力(≒減税)が期待を下回る可能性も懸念されているとみられる。もっとも、やや長い目でみれば、企業の積極的な価格転嫁によって名目GDPが安定拡大を続ける下、AIが喚起する需要や製造業の循環的回復に支えられ、水準を切り上げていくと期待される。諸点に鑑みて筆者は日経平均株価が12ヶ月以内に49,000円に到達すると予想する(従来45,000円)。
藤代 宏一
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