- HOME
- レポート一覧
- 経済指標レポート(Indicators)
- 米国9月ISM非製造業は大幅低下、FRBの利下げを支援
- US Indicators
-
2025.10.06
米国経済
金融市場
株価
金利
景気指標(米国)
投資指標(米国)
生産指標(米国)
雇用指標(米国)
物価指標(米国)
貿易指標(米国)
その他指標(米国)
米国9月ISM非製造業は大幅低下、FRBの利下げを支援
~事業活動指数は20年5月以降で初めて縮小を示す水準に低下~
桂畑 誠治
- 要旨
-
- 25年9月のISM非製造業景気指数(総合、季節調整値)は、50.0(前月52.0)と前月比2.0%ポイント低下し、市場予想中央値の51.7を下回った。総合指数が拡大縮小の分岐点である50まで低下したほか、活動指数が大幅低下し49.9と新型コロナ危機時の20年5月(45.4)以降で初めて50を下回り、非製造業部門はほぼゼロ成長だったことが示唆された。
- 10月からの政府機関の一部閉鎖によって、9月雇用統計、週間新規失業保険申請件数などの統計の公表が延期されているなか、9月のISM非製造業景気調査は、強いインフレ圧力を示したものの想定の範囲内であるほか、更なる景気減速や労働市場の停滞持続を示唆しており、10月FOMCでのFRBの25bpの利下げを支援する一因になったと考えられる。
- 非製造業総合指数の構成項目では、入荷遅延が52.6(前月50.3、前月比+2.3%ポイント)、雇用が47.2(前月46.5、前月比+0.7%ポイント)と上昇した一方、新規受注が50.4(前月56.0、前月比▲5.6%ポイント)、活動指数が49.9(前月55.0、前月比▲5.1%ポイント)と低下した。総合指数への寄与度では、入荷遅延が前月比+0.58%ポイント、雇用が同+0.18%ポイントの押し上げ寄与となった一方、新規受注が同▲1.40%ポイント、活動指数が同▲1.28%ポイントの押し下げ寄与となった。
- 主要項目別では、入荷遅延は上昇し、物流の遅れを示唆した。一部でサプライヤー納入の問題が起き、在庫不足が配送の遅れに繋がっているとの指摘があった。
- また、雇用指数は小幅上昇したものの縮小を示す水準にとどまった。発表元によると「雇用は、採用活動の遅れと有能な人材の確保の困難が重なり、引き続き縮小傾向」と評価された。雇用の拡大した業種数が18業種中6業種(同2業種)と増加し、縮小した業種数は8業種(同9業種)と減少した。9月に雇用の拡大を報告した6業種は、宿泊・飲食サービス、不動産・賃貸・リース、公益、小売業、情報、医療・社会支援。回答では、「通常の自然減によって従業員が減っているが、現在はこれらのポジションの補充を一時停止している」とのコメントがあった。
- 一方、新規受注は、拡大を示す水準を維持したが、大幅に低下した。拡大した業種が18業種中9業種(前月13業種)に減少し、縮小した業種が6業種(同2業種)に増加した。拡大した業種は、宿泊・飲食サービス、その他サービス、医療・社会支援、公的部門、情報、卸売業、教育サービス、金融・保険、公益(下線は拡大・縮小が2カ月以上続いたことを示す、以下同様)。
- さらに、活動指数は、大幅に低下し、新型コロナ危機時の2020年5月(45.4)以降で初めて50を下回った。拡大した業種が18業種中8業種(前月9業種)と減少し、縮小した業種が5業種(同3業種)と増加した。拡大した8業種では、関税の影響を受け易い卸売業が年末商戦に向けた価格上昇の影響を回避するための動きによって拡大を続けたほか、需要の強い情報産業、医療・社会支援、教育サービスが拡大を持続し、その他のサービス、宿泊・飲食サービス、公的部門、金融・保険が拡大に転じた。
- インフレ関係では、仕入価格指数が69.4(前月69.2)と上昇し、高い水準にとどまったうえ、18業種中15業種(前月16業種)で上昇した一方、支払価格の下落を報告した業種はなく、強いインフレ圧力が示された。回答では、インド、中国、東南アジアからの食品、南米からのコーヒー、アジアからの衣料品や電子機器が関税の影響を受け、前年比でコスト増が徐々に拡大していることが指摘された。商品別では、ディーゼル燃料、ガソリン、木材が下落した一方、鉄鋼製品、アルミニウム製品、ソフトウェア保守、銅製品、電気部品、牛肉、コンピューター・周辺機器等が上昇した。供給不足として、建設労働者が挙げられた。
- 9月に拡大した業種数は、18業種中10業種と前月の12業種から減少した。拡大した業種は、強い順に、宿泊・飲食サービス、医療・社会支援、その他サービス、情報産業、公的部門、教育サービス、卸売業、金融・保険、運輸・倉庫、公益と続いた。
- 米国経済全体の景気動向を示す「ISM総合景気指数(非製造業景気指数と製造業景気指数の合成)」は、9月に49.9(前月51.7)と低下し、景気の減速が示された。四半期では、7-9月期の製造業が48.6と4-6月期の48.7から低下したほか、非製造業が50.7と4-6月期の50.8から低下した。この結果、同期のISM総合景気指数は、50.5と4-6月期の50.6から小幅低下し、7-9月期の米経済の緩やかな成長を示唆している。
右上にある「PDF閲覧のアイコン」をクリックしてご覧下さい。
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
- 桂畑 誠治
かつらはた せいじ
-
経済調査部 主任エコノミスト
担当: 米国経済
執筆者の最近のレポート
-
米国:イラン・中東情勢の混乱が活動を抑制(3月ISM非製造業) ~サービス業でも供給網の混迷と高まるコスト増圧力~
米国経済
桂畑 誠治
-
米国:労働市場の安定化を示すも微妙なバランス (3月雇用統計) ~政策不確実性が影を落とす中、天候・スト等の反動で雇用が大幅増~
米国経済
桂畑 誠治
-
米国:イラン・中東情勢の混乱も拡大ペース加速(3月ISM製造業) ~供給網の混迷と高まるコスト増圧力~
米国経済
桂畑 誠治
-
米国:イラン攻撃前の小売売上高は底堅い(26年2月) ~一時的要因の剥落もあり幅広い業種が拡大~
米国経済
桂畑 誠治
-
米国:イラン・中東情勢の混乱も3月CB消費者信頼感の悪化回避 ~期待指数の弱含みとインフレ見通し再上昇で先行きに不透明感~
米国経済
桂畑 誠治
関連テーマのレポート
-
米国:イラン・中東情勢の混乱が活動を抑制(3月ISM非製造業) ~サービス業でも供給網の混迷と高まるコスト増圧力~
米国経済
桂畑 誠治
-
米国:労働市場の安定化を示すも微妙なバランス (3月雇用統計) ~政策不確実性が影を落とす中、天候・スト等の反動で雇用が大幅増~
米国経済
桂畑 誠治
-
米国:イラン・中東情勢の混乱も拡大ペース加速(3月ISM製造業) ~供給網の混迷と高まるコスト増圧力~
米国経済
桂畑 誠治
-
米国:イラン攻撃前の小売売上高は底堅い(26年2月) ~一時的要因の剥落もあり幅広い業種が拡大~
米国経済
桂畑 誠治
-
米国:イラン・中東情勢の混乱も3月CB消費者信頼感の悪化回避 ~期待指数の弱含みとインフレ見通し再上昇で先行きに不透明感~
米国経済
桂畑 誠治