米国 25年2Qの実質GDP成長率は上振れも減速傾向 (GDP統計、予測)

~25年前半では前期比年率+1.6%(前期+2.6%)に鈍化~

桂畑 誠治

要旨
  • 25年4-6月期の実質GDP成長率(3次推計)は、前期比年率+3.8%(2次推計+3.3%)と上方修正され、市場予想中央値同+3.3%(筆者予想同+3.4%)を上回った。住宅投資が同▲5.1%(同▲4.7%)と下方修正されたものの、個人消費が同+2.5%(同+1.6%)、設備投資が同+7.3%(同+5.7%)と上方改定され、民間国内最終需要が同+2.9%(同+1.9%)と大幅な上方修正となった。また、政府支出が▲0.1%(同▲0.2%)と上方修正されたことで、実質国内最終需要は、同+2.4%(同+1.6%)に上方改定された。一方、在庫投資のGDP寄与が同▲3.44%(同▲3.29%)、純輸出のGDP寄与が同+4.83%(同+4.95%)とともに下方修正されたため、実質GDP成長率は同+3.8%(同+3.3%)への上方修正に抑えられた。
  • 以下で、前期からの変化をみる。4-6月期の実質GDP成長率(3次推計)は、前期比年率+3.8%(年次改定後:1-3月期同▲0.6%)と拡大に転じた。4-6月期の住宅投資は、悪天候や建設業者のマインドの悪化等によって同▲5.1%(同▲1.0%)と減少幅を拡大した。また、設備投資は、前期比年率+7.3%(同+9.5%)と小幅減速した。知的財産投資が同+15.0%(同+6.5%)、増産投資が同+6.5%(同+4.3%)、輸送機器投資が同+25.3%(同+4.9%)と加速した一方、建設投資が同▲7.5%(同▲3.1%)と減少幅を拡大したほか、情報化投資が同+19.7%(+36.1%)と減速した。
  • 一方、個人消費は、同+2.5%(同+0.6%)と加速した。自動車などの耐久財が増加に転じたほか、サービスが加速した。また、非耐久財は同率の伸びを維持した。以上より、民間国内最終需要は、同+2.9%(同+1.9%)と加速した。実質国内最終需要は、政府支出が同▲0.1%(同▲1.0%)と減少幅を縮小し、同+2.4%(同+1.4%)と加速した。 このような中、在庫投資のGDP寄与が前期の関税賦課に備えた在庫積み増しの反動によって、同▲3.44%(同+2.58%)とマイナスとなった。一方、純輸出のGDP寄与が、関税賦課前の駆け込み輸入の反動減を背景に、同+4.83%(同▲4.68%)と大幅なプラスとなったため、実質GDP成長率は同+3.8%(同▲0.6%)と拡大に転じた。
  • 25年前半の実質GDP成長率は、1-3月期にトランプ関税で駆け込み輸入が急増した後、4-6月期に急減したため変動が大きくなったが、前期比年率+1.6%と24年後半の同+2.6%から鈍化したほか、実質国内最終需要も同+1.9%(同+3.3%)と鈍化しており、米景気は減速していると判断される。
  • 前年同期比では、4-6月期の実質GDP成長率(3次推計)は、+2.1%(2次推計+2.1%)と1-3月期の+2.0%から小幅加速した。インフレでは、4-6月期のPCEデフレーターが+2.4%(1-3月期同+2.6%)、PCEコアデフレーターが+2.7%(同+2.8%)と低下した。家計負担の実態により近い市場ベースのPCEコアデフレーターは+2.5%(同+2.4%)と上昇したが、PCEデフレーターは+2.2%(同+2.2%)と、FRBの目標である+2%付近まで低下した。トランプ関税が発動されたにもかかわらず、在庫の積み増し、企業のコスト吸収などによって、物価の押し上げが限定的なものにとどまっていたことが確認された。
  • 年後半の米国では、通商合意による不確実性の和らぎを背景とした設備投資の拡大や、農作物やエネルギーの輸出拡大が期待できよう。一方、これまでの実質金利の上昇や、価格上昇が経済活動の抑制要因になると考えられる。個人消費は、株や不動産などの資産残高の増加が押上げ要因になるものの、雇用・所得の伸び鈍化、価格上昇等を背景に緩やかな伸びにとどまると見込まれ、米経済は潜在成長率(+1.8%程度)を下回る成長に減速すると予想される。ただし、25年間の実質GDP成長率は、+1.8%と24年の+2.8%から鈍化するが、潜在成長率を維持する公算が大きい。 インフレは、関税賦課の影響が徐々に顕在化するなかで、PCEデフレーターは前年比+3%台に一時的に上昇する可能性が高い。 このような環境のもと、FRBは、長期インフレ期待の安定を背景にインフレ加速が一時的との見方を維持し、更なる景気減速や労働市場の軟化を回避するために、10、12月のFOMCでそれぞれ25bpの利下げを実施すると予想される。ただし、失業率の大幅な上昇など労働市場が悪化すれば、利下げペースは加速する公算が大きい。
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桂畑 誠治

かつらはた せいじ

経済調査部 主任エコノミスト
担当: 米国経済

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