米国 8月小売が予想を上振れ、基調は力強さを増した

  ~個人消費の底堅さを示唆~

桂畑 誠治

要旨
  • 25年8月の小売・飲食サービス売上高は、前月比+0.6%(前月同+0.6%)と、市場予想中央値(ブルームバーグ集計)の同+0.2%(筆者予想同+0.1%)を大幅に上回ったうえ、6、7月合計で0.2%上方修正された。前年比では、小売・飲食サービス売上高は+5.0%(前月同+4.1%)と加速し、高い伸びを保っている。8月の小売売上は、労働市場の軟化にもかかわらず、実質所得の増加、企業の販促の強化、価格上昇を警戒した購入意欲等を背景に堅調さを維持した。 8月小売売上高が予想を上回る堅調さを示したものの、9月FOMCでの25bpの利下げや、ドットチャートで26年の利下げ回数の小幅増加との予想を変えるものではない。
  • 業態別の前月比の動向をみると、家具、薬局、一般小売が減少に転じたほか、その他小売が減少幅を拡大した。また、自動車・同部品、家電、食品・飲料、ガソリンスタンド、衣料品、スポーツ用品・本・趣味用品が鈍化した。一方、建設資材、飲食店が増加に転じたうえ、無店舗小売が加速した。
  • 主要13業態のうち、縮小した業態が4業態(前月3業態)に増加したが、拡大した業態が9業態(前月9業態)と多くの業態で拡大した。縮小した4業態は、家具、薬局、一般小売、その他小売。一方、拡大した9業態は、自動車・同部品、食品・飲料、ガソリンスタンド、衣料品、スポーツ用品・本・趣味用品、無店舗小売、家電、建設資材、飲食店。
  • 小売売上統計の他の分類では、自動車を除く小売・飲食サービス売上高が、前月比+0.7%(前月同+0.4%)と市場予想中央値同+0.4%(筆者予想同+0.3%)を上回った(6、7月合計0.2%上方修正)。自動車・ガソリンを除く小売・飲食サービス売上高は、同+0.7%(前月同+0.3%)と市場予想中央値同+0.4%(筆者予想同+0.3%)を上回った(6、7月合計0.2%上方修正)。また、GDPの算出に使用されるコントロール・グループ(自動車・ガソリン・建材・飲食店を除く小売・飲食サービス売上高)は、前月比+0.7%(前月同+0.5%)と加速し、市場予想中央値の同+0.4%(筆者予想同+0.4%)を上回った(6、7月合計0.1%上方修正)。
  • さらに、小売売上高の基調を判断するうえで重要なコア小売売上高(自動車・ガソリン・建材を除く小売・飲食サービス売上高)は、同+0.7%(同+0.4%)と加速した。6、7月分が合計0.3%上方修正されたこともあり、3ヵ月移動平均・3ヵ月前対比年率で+6.3%(前月+5.1%)と高い伸びに加速、小売売上の増加基調は力強さを増している。四半期でも、7、8月平均は前期比年率+5.8%と4-6月期同+5.2%から加速している。以上より、個人消費は、関税政策、移民の取り締まり強化等によって不安感が高まるなか、底堅く推移していると判断される。
  • 7-9月期の実質個人消費は、トランプ関税による大幅な価格上昇懸念、実質給与所得の増加傾向、企業の販促等によって支えられるものの、価格上昇や節約志向の強まり、悪天候による抑制によって、前期比年率+1.8%(4-6月期同+1.6%)と緩やかな拡大が予想される。
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桂畑 誠治

かつらはた せいじ

経済調査部 主任エコノミスト
担当: 米国経済

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