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2025.09.08
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雇用鈍化、失業率上昇し労働市場は更に軟化(8月米雇用統計)
~9月FOMCでの0.25%利下げはほぼ確実~
桂畑 誠治
- 要旨
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- 25年8月の非農業部門雇用者数(事業所調査)は、前月差+2.2万人(前月同+7.9万人)と市場予想中央値(ブルームバーグ集計)の同+7.5万人(筆者予想同+8.6万人)を下回った。政府部門が同▲1.6万人(前月同+0.2万人)と減少に転じたうえ、民間部門は同+3.8万人(同+7.7万人)と市場予想中央値(ブルームバーグ集計)の同+7.5万人を下回って減速した。6、7月合計で非農業部門雇用者数は、▲2.1万人の下方修正となった。7月が+7.9万人(同+7.3万人)と上方改定されたが、6月が▲1.3万人(同+1.4万人)と下方改定され、20年12月の同▲18.3万人以来の減少となった。
- 米雇用の基調をみると、非農業部門雇用者数が3カ月移動平均で前月差+2.9万人(前月同+2.8万人)、6ヵ月移動平均で前月差+6.4万人(同+7.8万人)と低い水準に減速した。民間雇用者数が、3カ月移動平均で前月差+2.9万人(同+4.0万人)と減速した。
- 民間部門は、同+3.8万人(同+7.7万人)と減速した。医療・社会支援が強い需要や人手不足を背景に、同+4.68万人と引き続き最大の増加となったうえ、芸術・エンターテイメント・余暇(同+1.43万人)、その他サービス(同+1.2万人)、飲食店(同+1.1万人)、小売業(同+1.05万人)が高い伸びとなった。一方、製造業(同▲1.2万人)、卸売業(同▲1.17万人)、派遣業(同▲0.98万人)、建設業(同▲0.7万人)、鉱業(同▲0.6万人)、保険(同▲0.55万人)、情報産業(同▲0.5万人)、専門・技術サービス(同▲0.36万人)、教育サービス(同▲0.05万人)が減少した。
- 金融市場では、8月の非農業部門雇用者数が市場予想を下回ったほか、失業率が上昇したこと等を受け、FF金利先物の示す9月利下げの可能性が100%(前日約96%)に上昇し、据え置きの可能性が0%(前日約4%)に低下した。年末のFF金利の水準が3.71%と前日の3.81%から低下した。また、2年国債金利、10年国債金利は低下し、ドルは主要通貨に対して弱含んだ(P6)。主要株価指数は一旦上昇したものの、景気悪化を警戒し、下落に転じた。金は水準を切り上げた。
- トランプ2.0では、制度や政策の大幅な変更を多数の大統領令によって早期に実行しているため、混乱を招き、米経済は減速している。通商政策では、関税の賦課・撤回・上乗せの実行や、大幅な追加関税賦課などの発言を繰り返すことで不確実性を高めたため、企業が採用抑制や人員削減の動きを強め、民間部門雇用の増加ペースを鈍化させた。また、移民規制や不法移民の取り締まりの強化によって、労働供給の抑制に繋がっている。 目先、25%の自動車・同部品への追加関税、相互関税、30%の対中関税、50%の鉄鋼・アルミニウム関税、銅関税発動の影響が大きくなる中で、年内に対中国での関税の再引き上げ、医薬品、半導体、木材、家具、重要鉱物などへの関税賦課が計画されているほか、各国・地域の通商合意の履行が不十分とトランプ政権が判断すれば、相互関税が一段と引き上げられるリスクがある。更なるコストの増加やサプライチェーンの再構築を背景に、民間での採用抑制や人員削減の動きが続く可能性が高い。ただし、各国・地域が通商合意を順守し、商品別関税に対しても貿易相手国が対抗措置を取らない状況が続くことで、先行きの不確実性が低下すれば、民間雇用の増加ペースは再加速すると見込まれる。
- 平均時給は、前月比で+0.3%(前月+0.3%)と市場予想中央値と一致した(筆者予想+0.3%)。前年同月比では+3.7%(前月+3.9%)と鈍化し、市場予想中央値+3.8%(筆者予想+3.8%)を下回った。労働投入量は、前月比で0.0%(前月同+0.1%)と鈍化し、3ヵ月移動平均・3ヵ月前対比年率で▲0.8%(前月+0.2%)と20年7月以来のマイナスに転じ、労働需要が縮小したことが示された。
- 8月の失業率(U3、家計調査)は、4.3%(前月4.2%)と市場予想中央値(筆者予想4.3%)と一致したが、21年10月4.5%以来の高い水準となった。再び職探しを始めた人の増加によって失業者が増加し、労働参加率が62.3%(前月62.2%)と上昇した。
- 8月雇用統計では、トランプ関税による不確実性の高まりによって、雇用の増加ペースが減速、労働投入量も鈍化した。また、失業率は職探しを再開した人の増加によって押し上げられたものの、需給バランスの悪化を示しているように、労働市場は一段と軟化した。FRBは、労働市場の更なる軟化を防ぐために、9月のFOMCで25bpの利下げを実施すると見込まれる。
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本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
- 桂畑 誠治
かつらはた せいじ
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経済調査部 主任エコノミスト
担当: 米国経済
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