- 要旨
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- 日経平均株価は先行き12ヶ月45,000円程度で推移するだろう。
- USD/JPYは先行き12ヶ月150円程度で推移するだろう。
- 日銀は利上げを続け、2026年前半に政策金利は1.0%に到達しよう。
- FEDはFF金利を25年末までに4.0%まで引き下げ、その後は様子見に転じるだろう。
金融市場
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前営業日の米国市場は、S&P500が+0.3%、NASDAQが+0.5%で引け。VIXは14.4へと低下。
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米金利はツイスト・フラット化。予想インフレ率(10年BEI)は2.416%(▲2.3bp)へと低下。
実質金利は1.786%(▲0.8bp)へと低下。長短金利差(2年10年)は+57.0bpへとプラス幅縮小。 -
為替(G10通貨)はUSDが全面安。USD/JPYは146後半へと低下。コモディティはWTI原油が64.6㌦(+0.4㌦)へと上昇。銅は9818.0㌦(+62.5㌦)へと上昇。金は3445.8㌦(+41.2㌦)へと上昇。
注目点
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日本の2025年7月鉱工業生産は前月比▲1.6%と2ヶ月ぶりのマイナスとなり、市場予想(同▲1.1%)および経産省経済解析室の予測値(同▲1.0%)を下振れた。増産となったのは電気・情報通信機械工業、化学工業(除、無機・有機化学・医薬品)、電子部品・デバイス工業など6業種。品目別ではOSのサポート終了を控え、買い替え需要が発現したPCの増産が目立った。減産となったのは自動車工業、生産用機械、はん用・業務用機械など7業種であった。
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8月初旬に実施された生産予測調査に基づけば、製造工業の生産計画は8月が前月比+2.8%、9月が同▲0.3%と均してみれば増産を見込む。もっとも、経産省経済解析室が生産予測指数の上振れバイアスを補正した8月の予測値は同▲1.7%の減産見込みとなっており、この生産計画は下振れリスクがある。バイアス補正後の数値はこのところ予測精度が低下しているため、やや弱さを誇張している面はあるが、はっきりとした増産が実現する可能性は低いと言わざるを得ない。

- 鉱工業生産全体の方向感を決める自動車工業の生産は前月比▲6.7%と大幅な減産となった。新車需要の弱さを疑いたくなるが、米国向けに関しては、トランプ関税(対自動車)が発動されて以降、日系メーカーは輸出価格の引き下げによって、現地の販売価格を据え置くことで販売数量の減少回避に努めており、米国向け需要に大きな変化はないと推察される。米国の新車販売台数に目を向けると、7月は年換算1641万台と持ち直し傾向にある。ローン金利の高止まり等を踏まえると、早期の回復には疑問符が付くが、それでも販売台数が趨勢的に落ち込む姿は想定しにくい。この間、国内では認証問題に起因する供給制約が緩和し、新車販売台数が持ち直し傾向にあり、筆者が試算した季節調整済み年換算値では460~480万台程度まで水準を切り上げている。そうした下で、輸送機械工業の生産計画は8月に同+5.2%の増産となった後、9月は同▲4.9%と減産が見込まれており、概ね横ばいの計画となっている。

- 自動車と並ぶ重要産業である半導体関連については、電子部品・デバイス工業が前月比+2.4%と2ヶ月連続の増産となった。5月の大幅減産(▲14.8%)が響き、一時的に基調は下向きになっているが、2023年前半を大底とする回復局面は続いていると思われる。過去数ヶ月、大幅な変動を主導した集積回路(IC)は5月に同▲30.4%、6月に同+25.9%となった後、7月は同+3.8%と回復傾向にある。なお、2024年12月に稼働したと伝わっているTSMC熊本工場の生産分が、鉱工業生産統計に反映されているのか否かを含め経済産業省からの情報発信はない。他方、生産用機械に分類される半導体製造装置は同▲17.6%と大幅減産であった。関連指標の機械受注統計(機種別集計)における電子計算機等の受注額もやや下向き基調になっており、引き合いが軟調になっている可能性が示唆される。
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株式市場と関連の深い電子部品・デバイス工業の生産に注目すると、上述のとおり7月の生産は前月比+2.4%となった。生産計画は8月に前月比▲0.8%となった後、9月は同+3.1%と堅調な数値が見込まれている。次に出荷と在庫に注目すると、7月は在庫が前年比▲7.3%とマイナス幅拡大となるなか、出荷が同+1.8%へとプラス幅を拡大したため、出荷・在庫バランス(両者の前年比差分から算出)は+9.1ptへとプラス幅が拡大し、3ヶ月平均では+5.4ptとなった。
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ここで長期的に電子部品・デバイス工業の出荷・在庫バランスと、日経平均株価が連動性を有してきたことを再確認したい。株価指数において半導体を直接手掛ける企業の存在感は必ずしも大きくはないが、半導体製造装置や化学品など「広義半導体」で見ればその存在感は大きく、結果的に日本株全体のうねりを作り出す構図があると筆者は理解している。足もとの出荷在庫バランスに底打ちの兆しが出てきたことは、7月下旬以降の日本株高を正当化しているようにみえる。
- 先行きの出荷・在庫バランスを見極めるために在庫循環図の位置取りを確認すると、直近12ヶ月は、右下領域(在庫減・出荷増)から左下領域(在庫減・出荷減)へと逆走した後、大きくみれば北上している。過去の経験則に従えば、今後は東方に進路をとった後、徐々に右上領域(在庫増・出荷増)に向けて北上すると予想される。AI向け半導体以外のPC、スマホ、自動車向け需要がどれだけ復調するかが重要になってくる。その点、コロナ期にあたる2020-21年に販売されたPCが徐々に買い替えサイクルに突入することは頭の片隅に入れておく必要があろう。

藤代 宏一
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