トランプ相互関税発動後の需要拡大示す8月米PMI

~企業活動は活発化、雇用、生産の増加ペース加速も、高いインフレ圧力~

桂畑 誠治

要旨
  • 25年8月のS&Pグローバル米国総合購買担当者指数(PMI)は、55.4(前月55.1)と市場予想中央値(Bloomberg集計)の53.5(筆者予想54.2)への低下に反して、前月比0.3%ポイント上昇した。8月総合PMI(速報)は、拡大縮小の分岐点である50を31ヵ月連続で上回ったうえ、同統計調査対象企業の活動活発化や民間需要の拡大ペース加速を示した。
  • 製造業は、相互関税の上乗せが多くの主要な国・地域に対して限定的だったことを受け53.3 (前月49.8)と前月比+3.6%ポイントの大幅上昇となり、拡大を示す水準に回復した。また、サービス業は、堅調な国内需要を背景に55.4(前月55.7)と前月比0.3%ポイント低下にとどまり、高い水準を維持した。31ヵ月連続で50を上回っている。
  • 主要項目では、総合新規受注は、54.5(前月53.5)と上昇し、需要の拡大ペースの加速を示した。製造業が53.6(同50.1)と大幅上昇した他、サービス業が54.7(同54.1)と上昇した。また、総合雇用は、52.8(同51.5)と上昇し、雇用の拡大ペースの加速を示した(雇用統計では雇用の拡大ペース加速)。製造業が需要の高まりを背景に54.0(同49.2)と大幅に上昇したうえ、サービス業が52.6(同51.9)と小幅上昇した。
  • インフレ関連では、総合投入価格指数が62.3(前月61.3)、総合産出価格指数が59.3(同58.8)とともに上昇し、高い水準にとどまっている。企業は、関税によるコスト増加を価格に転嫁しており、インフレ圧力が高まっている。製造業では、投入価格指数が67.1 (同64.1)と上昇も、産出価格指数が60.1(同60.9)と低下し、製造業のマージン悪化が示唆されたうえ、高い水準にとどまっており、財価格の上昇圧力は強いままとなった。サービス業では、投入価格指数が61.4(同60.8)、産出価格指数が59.1(同58.4)とともに上昇する形で、インフレ圧力の強まりとサービス業のマージン悪化が示された。
  • 製造業では、新規受注が53.6(前月50.1)、雇用が54.0(同49.2)、生産が55.2(同51.3)、在庫が53.7(前月48.8)と主要構成項目が50を上回って上昇した。サービス業では、活動指数が55.4(前月55.7)と小幅低下したが、高い水準を維持し、事業活動の堅調さ示した。また、新規受注は、54.7(同54.1)と上昇し、需要の加速を示した。さらに、「将来の活動指数」が63.8(同62.7)と上昇し高い水準を維持しており、サービス関連企業は先行きに対して楽観的な見方を維持している。
  • 基調をみても、7、8月平均の総合PMIは、55.2と4-6月期の52.2から上昇し、米民間需要の拡大ペースの加速が示された。製造業が51.5(4-6月期51.7)と小幅低下にとどまったうえ、サービス業が55.6(同52.4)と大幅に上昇し、拡大ペースの加速を示した。
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桂畑 誠治

かつらはた せいじ

経済調査部 主任エコノミスト
担当: 米国経済

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