トランプ関税懸念続くも米製造業生産増(6月鉱工業生産)

~駆け込みの反動で拡大モメンタムは鈍化~

桂畑 誠治

要旨
  • 25年6月の鉱工業生産は、前月比+0.3%(前月同▲0.0%)と市場予想中央値の同+0.1%を上回った(25年1-5月合計0.1%p下方改定)。鉱業が同▲0.3%(同+0.1%)と縮小に転じた。一方、製造業が同+0.1%(同+0.3%)と鈍化したものの、市場予想中央値同0.0%を上回ったうえ、25年1-5月合計で0.2%p上方改定された。また、公益が気温の上昇や前月の反動もあり同+2.8%(同▲2.5%)と大幅な増加に転じ、全体を押し上げた。
  • トランプ政権の関税政策による高い不確実性のもと、製造業では、自動車・同部品が同▲2.6%と減少に転じたが、自動車を除く製造業が同+0.3%(同0.0%)と増加した。一次金属、石油・石炭製品、航空宇宙・その他輸送機器、家具・同関連製品、一般機械、非鉄、アパレル・皮革、コンピューター・電子、食品・飲料・タバコ、その他製造業、その他耐久財が拡大した。また、自動車生産は、月次で増減を繰り返しているが、4-6月期に前期比年率+16.5%(1-3月期同+2.1%)と堅調さを維持している。低い在庫水準のもと、関税賦課前に部品の在庫を積み増した企業や、25%の自動車関税発動によって米国内生産のコスト競争力が改善した企業等の生産が拡大した。
  • 生産の基調(3ヵ月移動平均・3ヵ月前対比年率)をみると、製造業生産が6月に+2.1%(前月+4.1%)、鉱工業生産が同+1.1%(同+1.5%)とプラス幅を縮小した。航空機メーカーのスト終了後の挽回生産が継続しているものの、トランプ関税の本格発動前の駆け込み需要の収束を背景に、拡大の勢いが弱まっている。
  • 製造業の業種別生産動向を前月比でみると、縮小した業種は、縮小幅の大きい順に、自動車・同部品(▲2.6%)、電気設備・機器・同部品(▲2.5%)、繊維(▲1.0%)、木材製品(▲0.9%)、印刷・同サポート(▲0.7%)、プラスチック・ゴム(▲0.6%)、紙パ(▲0.3%)、加工金属(▲0.2%)の8業種と前月と同数だった。一方、拡大した業種は、拡大幅の大きい順に、一次金属(+3.1%)、石油・石炭製品(+2.9%)、航空宇宙・その他輸送機器(+1.6%)、家具・同関連製品(+1.3%)、一般機械(+0.8%)、非鉄(+0.6%)、アパレル・皮革(+0.5%)、コンピューター・電子(+0.2%)、食品・飲料・タバコ(+0.2%)、その他製造業(+0.2%)、その他耐久財(+0.1%)の11業種(前月11業種)となった。化学は0.0%と横ばいだった。
  • 25年の製造業生産は、年初の拡大や、低い在庫水準等によって押し上げられるものの、4月の自動車関税、相互関税の発動、5月の自動車部品関税の発動を受けた需要鈍化やコスト増加、サプライチェーンの混乱などによって、前年比+0.8%(24年▲0.5%、23年▲0.5%)と小幅の増加にとどまると見込まれる。ただし、中国のレアアースの輸出制限等が再び強化されれば、自動車などの生産が落ち込むリスクがある。
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桂畑 誠治

かつらはた せいじ

経済調査部 主任エコノミスト
担当: 米国経済

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