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2025.07.02
米国経済
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トランプ関税上乗せを控え駆け込み(6月ISM製造業)
~生産拡大も新規受注が弱く持続性に乏しい他、コスト上昇圧力継続~
桂畑 誠治
- 要旨
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- 25年6月のISM製造業景気指数(季節調整値)は、49.0(前月48.5)と拡大縮小の分岐点である50を4ヵ月連続で下回ったが、前月比0.5%ポイント上昇した。市場予想中央値の48.8を上回っており、米製造業部門の縮小ペースが市場予想以上に減速したことが示された。
- 新規受注、雇用が縮小幅を拡大した他、入荷遅延が企業の関税負担の交渉などによる遅れの若干の緩和によって低下した。一方、関税上乗せ延期期限を控え一部の業種で駆け込み生産が拡大し、在庫の減少ペースが鈍化したことを受けて、景気指数が上昇した。他方、仕入価格は上昇し、高止まりしており、企業のコストが増加している。企業の回答では、トランプ関税に対する懸念や影響が引き続き多数を占めたほか、中東情勢など地政学リスクも指摘された。
- トランプ関税では、6月4日に、鉄鋼・アルミニウムの追加関税を50%に引き上げたうえ、6月23日に、鉄鋼・アルミニウム関税の対象を冷蔵庫、洗濯機、冷凍庫、乾燥機、オーブン、電子レンジ、食器洗浄機、調理用コンロなどに拡大した。鉄鋼・アルミニウムの含有量に応じて輸入製品に関税が課される。一方、相互関税の上乗せ停止期限である7月9日に向けて、トランプ政権は各国・地域と通商協議を行っているが、英国以外で目立った進展はみられず、交渉を進展させるために多くの国・地域に対して関税を上乗せする恐れがある。
- 6月の構成項目別の前月からの変化では、入荷遅延、雇用、新規受注が低下した一方、生産、在庫が上昇した。 入荷遅延は、54.2(前月56.1)と低下したが、依然高い水準にとどまっており、サプライヤーとの関税負担の交渉等による納品の遅れが続いていることが示された。また、雇用は、45.0(同46.8)と低下した。事業環境の不透明感の強まりを背景に、レイオフ、自然減、採用凍結を中心とした人員削減が継続され、50を下回ったままである。雇用の増加した業種数は18業種中4業種(同4業種)と限られた。さらに、新規受注は、46.4(同47.6)と小幅低下し需要の縮小が示された。拡大した業種数は18業種中7業種(同8業種)と減少した(7業種が縮小)。トランプ関税のコスト負担に関連する買い手と売り手の交渉、先行きの不確実性の高まり等の影響で、発注の減少が続いており、50を下回って推移している。
- 一方、生産は、50.3(前月45.4)と上昇し、拡大を示す水準を回復した。ただし、拡大した業種は、アパレル・皮革製品、石油・石炭、その他製造業、家具・関連製品、コンピュータ・電子機器、プラスチック・ゴム製品、一般機械、輸送機器の8業種(同7業種)にとどまっている他、新規受注や受注残が低い水準にとどまっており、生産は脆弱なままといえよう。また、在庫は、一部の業種での関税上乗せ前の材料等の早期納入を求める動きを受け、49.2(前月46.7)と上昇したが、50を下回っており、在庫の縮小ペース鈍化を示した。
- インフレの動向を示す仕入価格指数は、69.7(同69.4)と上昇、高い水準にとどまっており、コストの増加を示した。商品別では、アルミニウム、電気部品、電子部品、鉄鋼、段ボール箱、ステンレス鉄鋼、鉄鋼製品等の価格が上昇した。供給不足品では、電子部品のほか、労働が挙げられた。
- 6月に拡大した業種は、全18業種のうちアパレル・皮革製品、石油・石炭製品、非鉄、その他製造業、家具・同関連、コンピューター・電子機器、一般機械、食品・飲料・タバコ、電気機器・電化製品・電気部品の9業種(前月7業種)に増加した(下線は拡大・縮小が2カ月以上続いたことを示す)。主要6業種で、拡大した業種は石油・石炭製品、コンピューター・電子機器、一般機械、食品・飲料・タバコの4業種と前月の2業種から増加した。一方、縮小した業種は、繊維、木材製品、紙製品、化学製品、輸送機器、加工金属の6業種と前月7業種から減少した。なお、プラスチック・ゴム製品、印刷・関連サポート活動、一次金属は前月と変わらずとなった。
- 今後の製造業部門の活動は、各国との貿易交渉の影響を受けるが、合意内容や交渉の進展ペースがそれぞれ異なるとみられ、交渉を受けた相互関税の上乗せ率や関税の引き下げ率なども多様な結果になる可能性が高く、少なくとも7月9日の相互関税上乗せ停止期限、8月12日の対中関税引き下げ期限まで不確実性の高い状況が続くとみられ、製造業の景況感は8月まで悪化を続けると予想される。しかし、夏の間に多くの通商合意が行われれば、製造業景気指数は25年4Qに拡大を示す水準を回復すると予想される。
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本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
- 桂畑 誠治
かつらはた せいじ
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経済調査部 主任エコノミスト
担当: 米国経済
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