トランプ関税上乗せを警戒した駆け込み需要(6月米PMI)

~製造業での価格上昇圧力は一段と強まった~

桂畑 誠治

要旨
  • 25年6月のS&Pグローバル米国総合購買担当者指数(PMI)は、52.8(前月53.0)と前月比0.2%ポイント低下にとどまり、市場予想中央値(Bloomberg集計)の52.2(筆者予想52.2)を上回った。6月総合PMIは、拡大縮小の分岐点である50を29ヵ月連続で上回ったうえ、同統計調査対象企業の活動や民間需要の拡大ペースが小幅鈍化にとどまったことを示した。製造業は、52.0(前月52.0)と変わらずとなった一方、サービス業は、53.1(前月53.7)と前月比0.6%ポイントの低下したが、29ヵ月連続で50を上回った。米民間サービス業の活動は、トランプ関税による不確実性やインフレ圧力等の高まる中、相互関税の上乗せの90日間の停止(7月9日期限)、対中関税の115%の大幅引き下げと90日間の追加関税の停止(8月12日期限)等を受けた駆け込み需要によって、押し上げられている。
  • 総合新規受注は、52.3(前月53.0)と低下し、需要の拡大ペースの減速を示した。製造業が52.0(同52.1)と小幅低下したうえ、サービス業が52.4(同53.2)と低下した。一方、総合雇用は、52.1 (同51.6)と雇用の加速を示した(雇用統計では雇用の拡大ペース加速)。製造業が53.4(同50.2)と大幅に上昇した他、サービス業が51.9(同51.8)と上昇した。
  • インフレ関連では、総合投入価格指数が61.6(前月63.2)、総合産出価格指数が58.4(同58.7)とともに低下したが、高い水準にとどまった。企業は関税によるコスト増加を価格に転嫁している。製造業では、投入価格指数が70.0 (同64.6)、産出価格指数が64.5(同59.7)と高い水準に上昇しており、財価格の一段の上昇が示唆された。一方、サービス業では、投入価格指数が60.0(同63.0)、産出価格指数が57.3(同58.6)とともに低下したが、サービス業のマージン悪化が示された。
  • 製造業では、在庫が53.1(前月57.1)、新規受注が52.0(同52.1)と低下した一方、雇用が53.4(前月50.2)、生産が51.5(同49.4)と上昇した。サービス業では、活動指数が53.1(前月53.7)と低下し、事業活動の減速を示した。また、新規受注が52.4(同53.2)と低下し、需要の鈍化を示した。ただし、ともに水準は比較的高く、堅調さを保っている。また、「将来の活動指数」が63.7(同65.7)と低下したが高い水準を維持しており、サービス関連企業は先行きに対して楽観的な見方を維持している。
  • 基調をみると、4-6月期の総合PMIは、52.1と1-3月期の52.6(10-12月期54.8)から低下し、米民間需要の拡大ペースの鈍化が示された。製造業が51.4(1-3月期51.4)とほぼ変わらずとなったが、サービス業が52.5(同52.8)と小幅低下した。
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桂畑 誠治

かつらはた せいじ

経済調査部 主任エコノミスト
担当: 米国経済

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