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2025.06.07
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トランプ関税で米労働市場は軟化もまだ堅調(5月雇用統計)
~底堅い国内需要が労働市場を下支え~
桂畑 誠治
- 要旨
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- 25年5月の非農業部門雇用者数(事業所調査)は、前月差+13.9万人(前月同+14.7万人)と市場予想中央値(ブルームバーグ集計)の同+12.6万人(筆者予想同+16.4万人)を上回った(3、4月合計9.5万人下方修正)。政府部門が同▲0.1万人(前月同+0.1万人)と減少に転じた一方、民間部門が同+14.0万人(同+14.6万人)と市場予想中央値(ブルームバーグ集計)の同+12.0万人(筆者予想同+15.8万人)を上回り、小幅鈍化にとどまった。5月の非農業部門雇用者数が市場予想を上回ったことを受け、FF金利先物は利下げの織り込み度合いを弱め、年末のFF金利は3.94%と前日の3.85%から上昇した(P4)。
- トランプ2.0では、制度や政策の変更を多数の大統領令によって実行しているため、米経済は混乱した状況に陥りつつある。特に通商政策では、通商協議を優位に進めるために貿易相手国に対して関税を賦課したうえ、さらに関税を賦課する方針を示しており、製造業、小売業を中心に新規の採用を抑制する動きが強まっている。一方、堅調な国内需要を背景としたサービス業での雇用増加によって、労働市場は緩やかな軟化にとどまり、依然として堅調さを維持している。しかし、25%の自動車や同部品関税、10%の相互関税、30%の対中関税等の維持に加えて、7月以降に通商協議で合意できなかった国・地域への相互関税の上乗せ、対中国での関税の再引き上げなどが行われる可能性がある。更なるコストの増加やサプライチェーンの混乱を背景に、民間での採用抑制や人員削減の動きがさらに強まるとみられ、雇用の増加ペースは年末にかけて鈍化傾向を辿ると見込まれる。
- 部門別にみると、政府では、州・地方政府が解雇された連邦職員などを採用する動きもあり前月差+2.1万人の増加となったものの、連邦政府が政府効率化省(DOGE)による政府支出削減のための職員解雇によって同▲2.2万人と減少したことで、政府全体で同▲0.1万人(前月同+0.1万人)と減少した。
- 民間部門では、医療・社会支援は強い需要や人手不足を背景に、同+7.83万人と引き続き最大の増加となったほか、堅調な需要や良好な天候等を背景に、飲食店が同+3.02万人、芸術・エンターテイメント・余暇が同+1.66万人と加速した。また、その他サービス(同+0.9万人)、教育サービス(同+0.87万人)、輸送・倉庫(同+0.58万人)、保険(同+0.53万人)不動産・リース(同+0.42万人)等が増加するなど、広がりを伴って拡大を続けた。
- 雇用の増加基調は、3カ月移動平均で前月差+13.5万人(前月同+12.3万人)と加速した他、6ヵ月移動平均で前月差+15.7万人(同+17.7万人)と減速したものの堅調なペースを維持した。
- 平均時給は、前年同月比では+3.9%と前月の+3.9%(速報+3.8%)から変わらず、市場予想中央値+3.7%(筆者予想+3.7%)を上回った。22年3月の前年同月比+5.9%をピークに低下傾向を辿ったが、堅調な労働需要を背景に24年半ば以降、高い伸び率で低下に歯止めがかかっており、個人消費の押し上げ要因となっている。
- 5月の失業率(U3、家計調査)は、4.2%と前月の4.2%から変わらず、市場予想中央値と一致した(筆者予想4.2%)。失業率は、23年4月の3.4%をボトムに緩やかに上昇しているが、依然低い水準にとどまっており、労働市場の良好な状態での安定を示唆している。ただし、労働参加率が62.4%(前月62.6%)と低下していなければ、失業率は4.7%に上昇していたと推測され、労働市場は軟化していると判断される。また、「広義の失業率(U6)」は、7.8%(前月7.8%)横ばいとなった。これは、上述の失業率(U3)に“現在は職探しをしていないが過去1年間に求職活動を行った人“と”正規雇用を探しているがパートタイムで働いている人“を失業者に加えた数値。U6は、U3と同様に低い水準にとどまっているが、緩やかに上昇しており、労働市場の緩やかな軟化を示している。さらに、高いほど労働環境が良好であることを示す自発的失業率が9.7%(前月11.9%)と低下しした。以上より、家計調査は労働市場の緩やかな軟化を示していると判断される。
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本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
- 桂畑 誠治
かつらはた せいじ
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経済調査部 主任エコノミスト
担当: 米国経済
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前田 和馬