株高不況 株高不況

・日銀 7月利上げ説は残っている ・FRB 9月利下げは早すぎる?

藤代 宏一

要旨
  • 日経平均株価は先行き12ヶ月39,000円程度で推移するだろう。
  • USD/JPYは先行き12ヶ月150円程度で推移するだろう。
  • 日銀は半年に一度の利上げを続け、2026年1月までに政策金利は1.0%に到達しよう。
  • FEDはFF金利を25年末までに4.0%まで引き下げ、その後は様子見に転じるだろう。
目次

金融市場

  • 前営業日の米国市場は、S&P500が+0.6%、NASDAQが+0.8%で引け。VIXは17.7へと低下。

  • 米金利はカーブ全般で金利上昇。予想インフレ率(10年BEI)は2.349%(+0.2bp)へと上昇。実質金利は2.093%(+1.1bp)へと上昇。長短金利差(2年10年)は+49.9bpへとプラス幅縮小。

  • 為替(G10通貨)はUSDが全面高。USD/JPYは144近傍へと上昇。コモディティはWTI原油が63.4㌦(+0.9㌦)へと上昇。銅は9634.0㌦(+17.5㌦)へと上昇。金は3350.2㌦(▲20.4㌦)へと低下。

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注目点①

  • 4月JOLTS求人統計によると、求人件数は前月比+2.7%、739万件と市場予想(710万件)を上回った。政策不透明感によって企業の採用意欲低下が懸念されたものの、求人件数は下げ止まった。5月CB消費者信頼感調査における雇用判断DIも示していたとおり、これまでのところ労働市場に非連続な変化は観察されていない。失業者数に対する求人件数の割合も1.03へと小幅ながら上昇しており、求人意欲の底堅さが示された。また解雇率も低位安定を維持。3月から小幅に上昇したとはいえ、コロナ期前と比べて依然低い水準に留まっている。ただし、4月下旬以降は新規失業保険申請件数がやや増加傾向にあり、この点は留意しておく必要がある。平均時給の先行指標として注目される自発的離職率は2.00%へと小幅に低下も、3ヶ月平均では2.05%と概ね横ばいとなった。転職市場は2021‐22年に急拡大し、賃金上昇圧力を増幅させたものの、その反動もあって現在は落ち着いている。

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  • このように労働市場の安定を示すデータは、Fedにトランプ関税の帰趨を見守るための時間的余裕を与える。現時点でFF金利先物から逆算した初回利上げ時期は10月FOMCとなっているが、景気の安定を示すデータが続けば、利下げ開始は一段と後ずれするのではないか。筆者は9月と12月FOMCにおいてそれぞれ25bpの利下げを予想するが、初回利下げの時期が10月以降にずれ込む可能性を認識している。

注目点②

  • 植田総裁は6月3日に開催された内外情勢調査会の講演において、日本経済の見通しを「下押し圧力を受けつつも持ちこたえ、賃金と物価が相互に参照しながら緩やかに上昇していくというメカニズムも途切れることはないと見込んでいる」とした。5月1日発表の展望レポートで示された見通しは1月時点から大幅に下方修正され、市場参加者の耳目を集めたが、その後、5月12日に米国が中国との通商交渉で電撃合意に至ったこともあって、日銀の見通しは楽観的な方向に傾いている可能性があるだろう。他方で「関税政策を巡る今後の各国の交渉進展などの前提が崩れれば、先行きの見通しは上下双方向に大きく変化する可能性がある」とリスクについても言及したが、飽くまでリスクの向きは「上下」であり、通商交渉の進展次第で7月31日に公表される展望レポートの見通しが楽観的な方向に修正されることに一定の含みを持たせた。筆者は7月に利上げが決定される蓋然性は相応に高いと判断している。

藤代 宏一


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