- 要旨
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日経平均株価は先行き12ヶ月39,000円程度で推移するだろう。
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USD/JPYは先行き12ヶ月150円程度で推移するだろう。
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日銀は半年に一度の利上げを続け、2026年1月までに政策金利は1.0%に到達しよう。
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FEDはFF金利を25年末までに4.0%まで引き下げ、その後は様子見に転じるだろう。
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金融市場
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前営業日の米国市場は、S&P500が+2.0%、NASDAQが+2.5%で引け。VIXは19.0へと低下。
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米金利はブル・フラット化。予想インフレ率(10年BEI)は2.337%(▲0.9bp)へと低下。 実質金利は2.094%(▲6.3bp)へと低下。長短金利差(2年10年)は+46.3bpへとプラス幅縮小。
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為替(G10通貨)はUSDが全面高。USD/JPYは144前半へと上昇。コモディティはWTI原油が61.1㌦(▲0.4㌦)へと低下。銅は9610.0㌦(±0.0㌦)へと上昇。金は3303.5㌦(▲62.3㌦)へと低下。
経済指標
- 5月CB消費者信頼感指数は大幅に改善。トランプ関税が穏健なものになるとの期待が背景にあろう。雇用判断DIは、非連続な低下は観察されず安心感のある結果であった。
注目点
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日本の長期金利は、変動それ自体が稀であり、ましてや株式・為替などに影響を与えることは、これまでほとんどなかった。2008年の世界金融危機以降、日銀は長期金利を0%程度に誘導するYCCなどといった強力な金融緩和を導入し、長らく長期金利を抑制してきたことから、長期債(10年物国債)は「横綱」との異名を持つに至った。実際、2020年3月のコロナ危機など、世界の金融市場を揺るがす事態があった際もほとんど変動は観察されなかった。
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ただし、今年に入ってからは超長期債主導で幅広い年限の金利が急上昇している。①日銀の利上げ観測、②米長期金利の上昇・高止まり、③日銀の長期国債買入れ減額観測、④日本の財政支出拡大観測がそれらの背景にある。また国債の主要な買い手である金融機関が、この1年程度の金利上昇によって国債の評価損を抱え、短期的に国債の投資意欲が減衰していることもある。
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5月27日は財務省が超長期債の発行を年度中に減額するとの観測から、30年金利は前日比▲19.1bpの2.867%まで急低下した。年度内の発行計画見直しは異例の措置であるため、「財務省が足もとの金利上昇を重く受け止めた」と市場参加者が理解した形だ。30年金利は4月1日から5月26日までの2ヶ月弱で50bp超という急速な上昇を遂げてきた経緯があるため、短期的な反動に過ぎないとの見方も可能だが、株式・為替市場に有意な影響を与え、米国債市場にも一定の影響を与えた事は、円債市場の存在感が高まっていることを如実に物語る。超長期債の発行減額観測が広がると、午後にかけて株式は上昇、為替は円安、時間外の米長期金利も低下した。裏を返せば、超長期金利の上昇が日本株の頭を抑えていたことを意味する。
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奇しくも同日には日本の対外純資産残高が34年ぶりに首位から転落したことも伝わった。財務省統計によると、日本の対外純資産残高は533兆500億円と6年連続で拡大したものの、首位の座はドイツに明け渡した。対外純資産残高は、経常黒字の蓄積であるから、経常黒字を維持する限り拡大を続ける。ただし、日本は2011年の原発稼働停止以降、エネルギーの輸入依存度が高まる中で、輸出数量が伸び悩み、近年はデジタルサービスの赤字が膨らむことで、貿易サービス収支は赤字傾向にある。そうした下で、経常収支は過去に積み上げた対外資産(証券・直接投資)から得られる収益に依存する構図が強まっており、良くも悪くも成熟化している。成熟と言えば、聞こえは良いが、収益の源泉は高齢化している。
- 豊富な対外純資産残高は円と国債の信任を裏付ける。日本は政府債務残高のGDP比が突出して高い傍ら、世界最大の対外純資産残高を有してきたため、長期金利は極めて低位で安定してきた。もちろん、今回の首位陥落が日本の通貨、国債に対する信任低下に直結する訳ではないが、今後、財政に対して金利が敏感に反応する傾向が強まっていく可能性はある。夏の参院選に向けた景気対策や(衆参同時選挙の有無にかかわらず)次期首相候補に対する見方次第で金利が動き、株式・為替に影響を与える蓋然性は高まっているように思える。政府の経済対策案(特に補正予算案)が長期金利上昇を誘発し、企画倒れに終わる事態も想定される。

藤代 宏一
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