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2025.05.09
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トランプ関税
米英が貿易協定に合意
~前向きな進展だが、日本と置かれている状況は異なる~
前田 和馬
8日、トランプ政権は英国との貿易協定締結に合意したと発表した。4月2日の相互関税発表後、米国にとっては初めての通商合意となる。
米国は①英国からの輸入自動車の関税率を年間10万台まで25%から10%へと引き下げるほか、②鉄鋼・アルミニウムに対する25%関税を免除する一方、③相互関税の一律10%は維持する(英国は相互関税の追加分なし)。他方、英国は①牛肉の輸入関税を年間1.3万トンまで20%からゼロへと引き下げ、②その他の農産品、エタノール、機械等の市場開放(米国は「エタノール7億ドル、その他農産物2.5億ドルを中心に50億ドルの輸出機会を創出」と公表)を実施する。両国政府は今後数週間の協議のうえ最終合意を目指すとみられ、ナバロ米大統領上級顧問は米ビックテックの負担となっている英国の2%のデジタル課税の取り扱いを「交渉中」と述べている。
6日、ベッセント米財務長官は17の貿易相手国・地域と交渉していると述べており、米国は今後も複数の国との早期の暫定合意を目指すとみられる。特に経済的な影響が大きいのは米中貿易交渉であり、10~11日にスイスで米中の閣僚級協議が予定されている。米国による対中関税145%は中長期的に維持することが難しいとみられる一方、交渉が早期妥結へと至る道のりには不透明感が残る。
日本は5月中旬以降に3回目の日米貿易協議が予定されている。1日に実施された前回の日米交渉では米国が相互関税の追加分(現在は90日間の停止中)を協議することを提案したものの、全世界に対する相互関税の一律10%、及び自動車や鉄鋼・アルミへの25%関税は協議から除外する意向を示した。今回の米英合意を踏まえると、今後の日米交渉では自動車が協議対象に含まれる可能性がある。とはいえ、①米国が対英貿易黒字119億ドル(2024年)を計上する一方、対日貿易収支は685億ドルの赤字に陥っていること、②米国の乗用車輸入額に占める割合は英国が4.5%に対して、日本は18.7%とその存在感が大きいこと、③英国の自動車輸出の中心が高級車である一方、日本は大衆車が多く米国メーカーと競合すること、などの違いがある。トランプ大統領は自動車関税を巡って「英国は特別であり、(他国と)同じ取引はしない」と言及しており、自動車関税等の撤廃を求める日本側との隔たりは大きい。

前田 和馬
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。

