- 要旨
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- 日経平均株価は先行き12ヶ月39,000円程度で推移するだろう。
- USD/JPYは先行き12ヶ月150円程度で推移するだろう。
- 日銀は半年に一度の利上げを続け、2026年1月までに政策金利は1.0%に到達しよう。
- FEDはFF金利を25年末までに4.0%まで引き下げ、その後は様子見に転じるだろう。
金融市場
- 前営業日の米国市場は休場。USD/JPYは142前半で推移。
注目点
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日経平均株価の先行き見通しを39,000円とする(従来43000円)。トランプ関税については、現在90日間の停止措置中にある相互関税の上乗せ分が今後の日米交渉で緩和されることを前提にしている。不確実性の根源がトランプ大統領という個人にある以上、予見可能性は大幅に後退しているが、これまでの経緯を踏まえると、トランプ大統領といえども金融市場には逆らえず、特に米国債の不安定化やドルの不気味な下落には敏感とみられる。金融市場が荒れれば、通商政策は穏健な方向に軌道修正されると思われる。脱グローバル化を目論む米国の方針に変化はないにしても、米ドルの信認と表裏一体の関係にある米国債の不安定化を無視できない以上、その速度はトランプ政権の理想より遥かにゆっくりとしたものになるのではないか。政治的な面でみても、民主主義の米国は中国に比べて「我慢比べ」に弱いはずであり、関税引き上げという痛みを伴う構造転換を急速に進めるのは困難であろう。
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そうした下で日本の実質GDP成長率は潜在成長率を下回る懸念が強まっている。もっとも、GDPデフレーターははっきりとしたプラス成長を維持し、名目GDPの拡大基調は続くと予想される。足もとの原油価格下落が交易条件の改善を通じて名目GDPを押し上げる方向にあることも、日本の企業収益拡大に貢献する。そうした下で、内需は3年連続の賃上げに支えられそうだ。消費者は過去2年の所得増加にもかかわらず、消費に慎重な姿勢を崩していないが、新年度に入って賃上げ反映後の給料を手にすれば、将来の所得増加に前向きとなり、消費行動を変化させる可能性もある。名目GDPがマイナスにならない以上、株価が過去数年の上昇を一気に吐き出すとは考えにくい。
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為替は過去3週間程度に生じた急速かつ全面的なドル安が巻き戻され、USD/JPYは150円に向けて円安方向に回帰すると予想する。筆者は日米金利差の急速な縮小を見込んでいない他、自動車輸出の減少による(日本の)貿易サービス収支の赤字拡大予想が円安圧力を増幅させると判断している。
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短期的な材料としては、日米交渉で為替分野を担当する加藤財務大臣とベッセント財務長官の協議に注目。日程は世銀とIMF開催の会合およびG20やG7財務相・中銀総裁会合に合わせ4月24日とされている。通貨問題を巡る交渉を控え、為替市場では円安是正を求められるとの警戒感が燻ぶっているが、今回の交渉においてドル安誘導を目的とする特定の手段が示される可能性は極めて低いだろう。筆者は、協議が形式的なものになると予想する。円安是正といっても、日銀に大幅な利上げを迫まったり、円買い・ドル売り為替介入を要請(或いは米国側が実施)したりするのは容易でない。
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日銀は国内景気の下振れ警戒感を強めているに違いない。もっとも、日銀の軸足は景気の強弱よりインフレ圧力に置かれているとみられ、景気後退下の利上げもあり得るとみている。人手不足に起因するインフレ圧力は今後も強まっていく公算が大きく、この点は日銀の利上げを後押しする。また利上げによって為替が円高方向に推移すれば、個人消費の追い風になり得るため、国内景気を後押しする可能性すらある。通貨問題に対して「空気を読む」、「忖度する」といった可能性があることも重要だろう。もっとも、金融市場のボラティリティが高い局面において利上げは見送られる公算が大きい。結果的に「半年に一度」が狂う可能性はあるが、利上げ局面はそう簡単に終わらないと思われる。
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Fedの利下げも年内2回で変更はない。景気減速とインフレ警戒の板挟み状態となり、積極果敢な利下げは実施されないとみている。筆者は、現在織り込まれている年内4回弱の利下げは2回ないしは1回に修正されると読んでおり、その過程でドルが買戻されると予想する。もちろん、こうした予想はパウエル議長の解任といった通常では想定されない事態は前提にしていない。
藤代 宏一
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