米国 トランプ関税前に製造業生産拡大(3月鉱工業生産)

~生産拡大のモメンタムはさらに強まったが、今後弱まる可能性~

桂畑 誠治

要旨
  • 25年3月の鉱工業生産は、前月比▲0.3%(前月同+0.8%)と市場予想中央値の同▲0.2%を下回ったが、24年10月-25年2月合計で+0.1%p上方改定されており、概ね市場想定通りの内容。公益が例年よりも温暖な天候によって同▲5.8%(同▲1.5%)と減少幅を拡大した。また、前月高い伸びとなった鉱業が同+0.6%(同+1.7%)、製造業が同+0.3%(同+1.0%)とともに鈍化した。製造業生産は、市場予想中央値の同+0.2%を下回ったが、24年10月-25年2月合計で0.1%上方修正されており、概ね市場想定通りの結果。製造業では、自動車関税、相互関税の発動を前にした発注の前倒しや駆け込み需要によって、航空宇宙・その他輸送機器、自動車・同部品、コンピューター・電子、プラスチック・ゴム、非鉄、一般機械等が高い伸びとなった。
  • 生産の基調をみると、3ヶ月移動平均・3ヶ月前対比年率で、製造業生産が3月に+5.1%(前月+3.1%)とプラス幅拡大し、鉱工業生産も同+5.5%(同+5.2%)とプラス幅を拡大した。ハリケーン襲来のほか、民間航空機大手メーカーでのストライキによる生産活動の落ち込みの悪影響が弱まったほか、駆け込み需要やコスト増加を警戒した生産拡大の動きを背景に、製造業生産、鉱工業生産の拡大基調が強まった。
  • 製造業の業種別生産動向を前月比でみると、拡大した業種は、拡大幅の大きい順に、アパレル・皮革(+2.2%)、航空宇宙・その他輸送機器(+1.8%)、自動車・同部品(+1.2%)、コンピューター・電子(+1.0%)、プラスチック・ゴム(+1.0%)、非鉄(+0.9%)、一般機械(+0.9%)、加工金属(+0.8%)、家具・同関連製品(+0.7%)、化学(+0.6%)、その他製造業(+0.5%)、食品・飲料・タバコ(+0.2%)の12業種(前月16業種)に減少した。
  • 25年の製造業生産は、年初の拡大や、低い在庫水準等に押し上げられるものの、4月に自動車関税、相互関税が発動されたことを受けた需要鈍化やコスト増加、サプライチェーンの混乱などによる押し下げによって、前年比+0.5%(24年▲0.5%、23年▲0.5%)と小幅の増加にとどまると見込まれる。
こちらのレポートについては、PDF形式によるご提供となっております。
右上にある「PDF閲覧のアイコン」をクリックしてご覧下さい。

本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。

桂畑 誠治

かつらはた せいじ

経済調査部 主任エコノミスト
担当: 米国経済

執筆者の最近のレポート

関連テーマのレポート

関連テーマ