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2025.04.17
アジア経済
アジア金融政策
ニュージーランド経済
為替
トランプ関税
インフレ加速も追加利下げの可能性残る、NZドル相場の行方は?
~NZドルの動意は米ドル相場がカギを握るが、RBNZの利下げ観測が上値を抑える展開も~
西濵 徹
- 要旨
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- 足元の世界経済と国際金融市場は、米トランプ政権の関税政策の不透明感の影響を受けている。中国をはじめとするアジア新興国への相互関税の行方は、ニュージーランド経済に間接的に悪影響を与えると懸念される。こうしたなか、ニュージーランド準備銀行(RBNZ)は利下げを継続する一方、緩和ペースを鈍化させた。追加利下げに含みを持たせたが、トランプ関税の景気や物価への影響を見定める思惑がうかがえる。
- 1-3月のインフレ率は生活必需品を中心とする物価上昇を受けて前年比+2.5%に加速したが、引き続き目標域に収まっている。また、コアインフレ率は前年比+2.6%と丸4年ぶりに目標域に収束し、全般的にインフレ圧力が後退している。今後は物価を押し上げたガソリンや教育費などの一時的な影響も一巡が見込まれる。為替市場では、NZドルは景気低迷やRBNZの利下げが重石となってきたが、米ドル安により下げ止まる動きをみせる。今後も米ドル相場の行方が対円相場にも大きく影響を与える展開が続こう。
このところの世界経済や国際金融市場は、米トランプ政権による関税政策を巡る不透明感に揺さぶられる展開が続く。米トランプ政権は、すべての国を対象に一律で10%を課す相互関税を発動し、一部の国に対する上乗せ関税に動いたものの、直後に中国以外への上乗せ分を90日間延期するなど、その動きは二転三転している。なお、ニュージーランドに対する相互関税の税率は10%と一律水準であり、仮に上乗せ分が発動されたとしても、追加で直接的な悪影響が生じる可能性は低い。しかし、最大の輸出相手である中国をはじめ、アジア新興国に幅広く上乗せ関税が課せられることにより、間接的に悪影響が伝播することが懸念される。よって、トランプ関税に伴う同国への全体的な影響は見通しにくい状況にあると捉えられる。
こうしたなか、ニュージーランド準備銀行(RBNZ)は今月9日の定例会合で5会合連続の利下げに動く一方、利下げ幅を縮小させるなど緩和ペースを緩めた(注1)。会合後に公表した声明文では、決定を巡って追加利下げが適切とした上で、トランプ関税の同国経済への影響について景気、物価の両面で下振れリスクを招くと指摘しつつ、物価への影響は不透明との見方を示した。その上で、物価見通しについて、不確実性は高まるも現時点におけるリスクは均衡しているとし、トランプ関税による影響が明確化した段階で必要に応じて追加利下げの余地が生まれるとするなど、追加利下げに含みを持たせる考えを示した。
一方、RBNZが断続利下げに動いてきた背景には、足元の景気に不透明感が強まっている上、高止まりしたインフレが頭打ちを強めており、RBNZが定めるインフレ目標(2±1%)の範囲内に収束するなど物価が落ち着きを取り戻していることも影響している。さらに、最新の物価報告書においては、年後半にインフレが上振れするも目標域で推移するとの見通しを示していることも利下げを後押ししている。こうしたなか、1-3月のインフレ率は前年同期比+2.5%と前期(同+2.2%)から2四半期連続で加速しており、頭打ちが続いた流れに変化がみられる。前期比も+0.93%と前期(同+0.55%)から上昇ペースが加速しており、ガソリン価格の上昇に加え、生鮮品をはじめとする食料品価格も上昇に転じるなど、生活必需品を中心にインフレ圧力が強まったことが影響している。なお、食料品とエネルギーを除いたコアインフレ率は前年同期比+2.6%と前期(同+3.0%)から鈍化して丸4年ぶりにインフレ目標域に収束しており、幅広くインフレ圧力が後退している様子がうかがえる。前期比も+0.47%と前期(同+0.86%)から上昇ペースは鈍化しており、幅広く財価格が押し上げられる一方、政府による補助金終了を受けて教育費は大幅に上昇したものの、教育費以外のサービス物価は幅広く鈍化している。

インフレの加速については、ガソリン価格の大幅上昇が主因となっているものの、足元においては国際原油価格が頭打ちの動きを強めるとともに下落に転じており、その影響は一巡していると捉えられる。さらに、補助金終了を受けて大幅に上昇した教育費も足元においてはその影響が一巡していることに加え、不動産市況の頭打ちを受けて消費者物価のなかで最も高いウェイト(11.21%)である家賃の上昇ペースは過去4年で最も低水準となるなど、先行きもインフレ圧力は一段と後退する展開が見込まれる。なお、実体経済を巡る不透明感の高さやRBNZの断続利下げも追い風に、NZドルの対ドル相場は調整の動きを強めてきたものの、このところの国際金融市場はトランプ関税の行方に揺さぶられるなかで米ドル安の動きが強まり、一転して底入れしている。当面については、上述のようにRBNZによる一段の利下げが見込まれるものの、NZドル相場については米ドル相場がその動意を左右する展開が続くと見込まれるなど見通しの立ちにくい展開が予想される。日本円に対しても米ドル相場の動向に左右される一方、米ドル/円の動向が上値を抑えることも考えられる。

注1 4月9日付レポート「RBNZは5会合連続利下げも、トランプ関税の影響を見定める構え」
西濵 徹
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
- 西濵 徹
にしはま とおる
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経済調査部 主席エコノミスト
担当: アジア、中東、アフリカ、ロシア、中南米など新興国のマクロ経済・政治分析
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