米国 トランプ関税による上昇を前に3月CPIは下振れ

~景気悪化懸念、旅行需要の弱まり等が物価上昇を抑制~

桂畑 誠治

要旨
  • 25年3月の消費者物価(総合)は、前月比▲0.1%(前月同+0.2%)と市場予想中央値の同+0.1%(筆者予想同+0.1%)を下回って下落した。食品が穀物・ベーカリー製品や野菜・果物の下落、卵の低下にもかかわらず、肉、牛乳、砂糖、菓子の上昇によって同+0.4%(同+0.2%)と上昇した。一方、エネルギーがガソリン、燃料の下落を背景に同▲2.4%(同+0.2%)とマイナスに転じたほか、エネルギー・食品を除く消費者物価(CPIコア)が同+0.1%(同+0.2%)と低下し、市場予想中央値の同+0.3%(筆者予想同+0.3%)を下回った。
  • トランプ関税は、2月に中国からの輸入品に対して10%賦課され、3月に中国からの輸入製品に対して10%上乗せされたほか、カナダ、メキシコからの輸入製品の一部に25%の関税が課されたが、CPIへの影響は限定的なものとなった。一方、ロサンゼルス近郊の大規模火災や暴風雪による価格押上げ圧力が弱まった他、米景気の悪化懸念によるエネルギー価格の下落、トランプ政権による対外関係の悪化や不法移民の取り締まり強化を受けた米国旅行需要の弱まりを背景としたサービス価格の抑制などで3月CPIは下振れた。ただし、4月に25%の自動車関税、10%の相互関税が発動されたうえ、中国からの輸入製品に対して125%の関税が上乗せされたことで、4月以降財価格が押し上げられると予想される。
  • CPIコアでは、財コアが前月比▲0.1%(前月同+0.2%)と下落したうえ、サービスコアが+0.1%(同+0.3%)と低下した。財コアでは、ロサンゼルス近郊の大規模火災や暴風雪の影響が弱まったこともあり中古車、医療用品が下落に転じたほか、余暇商品、自動車部品が下落を続けた。また、家庭用耐久品・消耗品、衣料品、アルコール飲料、その他財が低下した。
  • サービスコアでは、ホテル、自動車保険、電話サービスが下落に転じた他、レンタカー、航空運賃が下落幅を拡大した。また、専門医療、余暇サービス、上下水道・ゴミ収集サービス、インターネットサービスが低下した。賃貸料は+0.3%と前月と同率の伸びにとどまった。
  • CPIコアの上昇モメンタムをみると、3ヵ月前対比年率で+3.0%(前月+3.6%)、6ヵ月前対比年率で+3.0%(前月+3.6%)と低下したが、高い水準にとどまっており、インフレの下げ渋りを示している。
  • 前年同月比では、総合が+2.4%(前月+2.8%)と低下し、市場予想中央値同+2.5%(筆者予想同+2.6%)を下回った。食材や外食の上昇で食品が+3.0%(同+2.6%)と上昇した一方、エネルギーが▲3.3%(同▲0.2%)と下落幅を拡大したほか、CPIコアが+2.8%(同+3.1%)と市場予想中央値の同+3.0%(筆者予想同+3.0%)を下回って低下した。CPIコアを財、サービス別にみると、財コアが▲0.10%(同▲0.12%)と下落幅を縮小した一方、サービスコアが+3.7%(同+4.1%)と低下し全体を押し下げた。
  • 財コアでは、医薬品など医療用品、衣服、中古車が低下した一方、アルコール飲料が上昇したほか、新車が下げ止まり横ばいとなった。また、家庭用耐久品・消耗品、娯楽用品、情報機器が下落幅を縮小した。 サービスコアでは、ホテルが下落に転じた他、航空運賃、レンタカー、インターネットが下落幅を拡大した。また、賃貸料、帰属家賃、医療保険、自動車保険が低下し、携帯が下落を続けた。サービスコアは、低下傾向を辿っているものの、賃金上昇の影響を受け易い部門での上昇、住宅関連の高い上昇を背景に、前年比+3.7%と高い伸びを続けており、引き続きCPIコアの前年比での鈍い低下の主因となっている。
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桂畑 誠治

かつらはた せいじ

経済調査部 主任エコノミスト
担当: 米国経済

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