株高不況 株高不況

工作機械受注が教えてくれる世界経済と日本株(25 年2月)

藤代 宏一

要旨
  • 日経平均株価は先行き12ヶ月43,000円程度で推移するだろう。
  • USD/JPYは先行き12ヶ月155円程度で推移するだろう。
  • 日銀は半年に一度の利上げを続け、2026年1月までに政策金利は1.0%に到達しよう。
  • FEDはFF金利を25年末までに4.0%まで引き下げ、その後は様子見に転じるだろう。
目次

金融市場

  • 前営業日の米国市場は、S&P500が+2.1%、NASDAQが+2.6%で引け。VIXは21.8へと低下。

  • 米金利はカーブ全体で金利上昇。予想インフレ率(10年BEI)は2.310%(+0.8bp)へと上昇。

実質金利は2.002%(+3.6bp)へと上昇。長短金利差(2年10年)は+29.3bpへとプラス幅縮小。

  • 為替はUSDが中位程度。USD/JPYは148後半へと上昇。コモディティはWTI原油が67.2㌦(+0.6㌦)へと上昇。銅は9780.5㌦(▲3.0㌦)へと低下。金は3001.1㌦(+9.8㌦)へと上昇。

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注目点

  • 筆者が定点観測する工作機械受注統計(日本工作機械工業会)は下値固めの様相を呈してきた。米国の政策不透明感もあって回復の足取りは遅々としているが、一方で国内の設備投資計画が堅調な中、中国の景気刺激策もあり、前年比伸び率は5ヶ月連続のプラス圏推移となった。3月11日に発表された2月の受注額(原数値)は1182億円、前年比伸び率は+3.5%であった。筆者作成の季節調整値は前月比+2.8%と増加に転じ、3ヶ月平均値でも+1.0%とプラス転化した。単月の内訳は「国内向け」の季節調整済み前月比が+3.2%と反発し、前年比では+3.9%と4ヶ月連続でプラス圏を確保。「外需」も前月比は+3.1%と反発し、前年比は+3.4%と5ヶ月連続のプラス圏推移だった。

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  • 日本の工作機械受注は、そのサイクルがグローバル製造業PMIやアナリストの業績予想(TOPIX予想EPS)と連動性を有する。グローバル製造業PMIは2025年1月に50.0を回復すると、2月は50.6へと上昇。米国の関税引き上げを睨んだ駆け込み需要分を割り引く必要があるものの、昨年夏場の停滞から抜け出しつつあるようにみえる。地域別では日本が49.0へと0.3pt上昇。電子部品の市況拡大が鈍化する中、自動車生産の回復が遅々としており、直近24ヶ月平均値である49.1から上抜けていく兆しに乏しい。IT関連財の生産集積地である台湾は51.5へと0.4pt上昇したものの、韓国は49.9へと0.4pt低下した。中国は50.8へと0.7pt上昇し、5ヶ月連続で50超を維持した。中国当局が景気対策に本腰を入れ始めた昨年秋以降の変化として、マネー関連統計の伸びがある。社会融資総量(新規フローの12ヶ月平均値)は前月比+2.3%と3ヶ月連続で増加し、社会融資総量残高も前年比+8.2%と底打ちの兆しがある。新規融資のGDP比(前年差)をとった通称クレジットインパルスをみても▲2.0ptとマイナス幅が縮小しており、政策態度の変化がマネー統計に表面化してきた可能性が窺える。この指標は日本株の先行指標として一定の有用性があるため、当面は注視していきたい。米国は52.7へと1.6pt上昇した。類似指標のISM製造業景況指数は2月に落ち込みが観察されたが、サンプル数の多いPMIでみる限り、製造業は持ち直している。大統領選を通過したことでそれまで手控えられていた投資案件が実行に移されている可能性が指摘できる。この間、米新車販売台数は好調に推移しており、3ヶ月平均値は1613万台(季節調整済年換算)と需要の底堅さが示されている。他方、ユーロ圏ではドイツが46.5(1月45.0)、フランスが45.8(同45.0)と苦境が続いているものの、ロシア・ウクライナによる停戦協議が前進しつつあることもあってか、前向きな動きが観察された。もっとも、新車販売台数はコロナ期に生じた断層が埋まる気配は全くと言って良いほど感じられない。

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  • 工作機械受注サイクルの位置取りを確認するために、縦軸に受注額の水準(36ヶ月平均値からの乖離)、横軸に方向感(6ヶ月前比)をとった循環図をみると、最新値は右下局面(低水準・伸び率プラス)で小さな渦を描きつつあるが、過去の経験則に従うなら今後は右方向へ進んだ後、上向き方向に進路をとると予想される。そうした下で株価は頭打ち状態にあるが、工作機械受注の上向き基調が鮮明化すれば、高値更新の可能性は高まると判断される。

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藤代 宏一


本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。