米国 トランプリストラも雇用はまだ堅調(2月雇用統計)

~連邦政府職員の解雇と悪天候が雇用の足かせ~

桂畑 誠治

要旨
  • 25年2月の非農業部門雇用者数(事業所調査)が前月差+15.1万人(前月同+12.5万人)と市場予想中央値(ブルームバーグ集計)の同+16.0万人(筆者予想同+18.6万人)を下回ったものの、前月から加速した(12、1月合計0.2万人下方修正)。政府部門が同+1.1万人(前月同+4.4万人)と減速した一方、民間部門が同+14.0万人(同+8.1万人)と市場予想中央値(ブルームバーグ集計)の同+14.5万人(筆者予想同+17.2万人)を小幅下回ったものの加速した。トランプ政権による連邦政府職員の解雇や悪天候の中、1月の暴風雪による落ち込みの反動や、底堅い需要によって押し上げられた。
  • 政府部門では、州・地方政府が同+2.1万人増加したものの、トランプ政権による強引な解雇で連邦政府が同▲1.0万人減少した。民間部門では、悪天候の影響で飲食店が同▲2.75万人と減少を続けた他、派遣業(同▲1.23万人)、専門・技術サービス(同▲0.93万人)、小売業(同▲0.63万人)、商業銀行(同▲0.47万人)等が減少した。一方、医療・社会支援が同+6.31万人と、強い需要や人手不足を背景に引き続き最大の増加となったほか、建設業(同+1.9万人)、輸送・倉庫(同+1.78万人)、製造業(同+1.0万人)が高い伸びとなった。また、不動産・リース(同+0.99万人)、教育サービス(同+0.96万人)、卸売業(同+0.88万人)、芸術・エンターテイメント・余暇(同+0.78万人)、保険(同+0.51万人)、情報産業(同+0.5万人)、その他サービス(同+0.4万人)、宿泊(同+0.37万人)等が増加するなど、広がりを伴って拡大を続けている。
  • 雇用の増加基調は、3カ月移動平均で前月差+20.0万人(前月同+23.6万人)と鈍化したが、高い伸びを保っているうえ、6ヵ月移動平均で前月差+19.1万人(同+17.7万人)と加速し、堅調なペースを維持している。平均時給は、22年3月の前年同月比+5.9%をピークとした低下傾向が持続しているものの高い伸びで低下に歯止めがかかっており、個人消費の押し上げ要因となっている。
  • 2月の失業率(U3、家計調査)は、4.1%(前月4.0%)と上昇し、市場予想中央値の4.0%(筆者予想4.1%)を上回った。また、「失業率(U3)」に“現在は職探しをしていないが過去1年間に求職活動を行った人“と”正規雇用を探しているがパートタイムで働いている人“を失業者に加えた「広義失業率(U6)」は、8.0%(前月7.5%)と大幅上昇するなど、労働市場の軟化を示している。一方、高いほど労働環境が良好であることを示す自発的失業率が13.0%(前月13.3%)と小幅低下にとどまり、高い水準を維持していること等から、労働市場の急激な悪化は示唆されていない。失業率は、23年4月の3.4%をボトムに緩やかに上昇したが、足元で依然低い水準にとどまっており、労働市場の良好な状態での安定を示している。
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桂畑 誠治

かつらはた せいじ

経済調査部 主任エコノミスト
担当: 米国経済

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