米国 トランプ2.0の不確実性も2月ISM非製造業は上昇

~ISM景気指数は米景気の減速も堅調持続を示唆~

桂畑 誠治

要旨
  • 25年2月のISM非製造業景気指数(総合、季節調整値)は、53.5(前月52.8)と市場予想中央値の52.5(筆者予想53.0)への低下に反して前月比0.7%ポイント上昇し、非製造業部門の拡大ペース加速を示した。支出削減、悪天候の影響を受け活動指数が小幅低下したものの、新規受注、雇用が上昇した。また、拡大した業種数が14業種と前月と同様に広がりを伴って拡大している。発表元によると、回答では、トランプ関税の不確実性のほか、連邦政府の支出削減が事業活動に悪影響を及ぼしていると報告された。
  • 非製造業総合指数の構成項目では、活動指数が54.4(前月54.5、前月比▲0.1%ポイント)と低下した一方、雇用が53.9(前月52.3、前月比+1.6%ポイント)、新規受注が52.2(前月51.3、前月比+0.9%ポイント)、入荷遅延が53.4(前月53.0、前月比+0.4%ポイント)と上昇した。
  • 活動指数は、低下したが比較的高い水準を維持した。拡大した業種が18業種中9業種(前月9業種)となった一方、縮小した業種が3業種(同4業種)にとどまった。需要が堅調な他、通常よりも早い発注など、関税引き上げによるサプライチェーンへの影響に対応するための動きが活発化していると考えられる。回答では、年初の売上が好調だった一方、トランプ関税に対する予防措置として顧客が購入を増やすなど、最近の売上が不安定になっていることなどが報告された。
  • 雇用指数は上昇したものの、雇用の拡大した業種数が18業種中7業種(同6業種)、縮小した業種数が7業種(同5業種)と同数となった。回答では、米国政府の支出削減の影響で、採用の先送りや従業員の一時解雇を行ったと報告された。
  • 新規受注は広がりを伴って上昇した。拡大した業種が18業種中11業種(前月10業種)に増加し、縮小した業種が4業種(同5業種)に減少した。回答では、事業の拡大といった前向きな報告に加えて、トランプ関税賦課に備えた発注の増加などが指摘された。
  • また、入荷遅延は、悪天候や販売業者の人手不足によって一部の配送が遅れたほか、関税賦課に備えた需要の急増などによるサプライチェーンの問題で、製品の配送が遅れたこと等を背景に上昇した。
  • インフレ関係では、仕入価格指数が62.6(前月60.4)と上昇、18業種中16業種(前月15業種)で上昇しており、インフレ圧力が残存していることが示された。
  • 2月に拡大した業種数は、18業種中14業種(前月14業種)と多く、米非製造業部門が広がりを伴った拡大を続けていることが示された。
  • 米国経済全体の景気動向を示す「ISM総合景気指数(非製造業景気指数と製造業景気指数の合成)」は、2月に53.2(前月52.6)と上昇し、拡大ペースの加速が示された。四半期では、1、2月の製造業が50.6と10-12月期の48.2から上昇した一方、非製造業が53.2と10-12期の54.1から低下した。この結果、1-3月期のISM総合景気指数は、52.9と10-12期の53.5から小幅低下し、1-3月期の米経済が減速しているものの堅調さを依然維持していることを示している。
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桂畑 誠治

かつらはた せいじ

経済調査部 主任エコノミスト
担当: 米国経済

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