米国25年1月CPIの上振れで利下げがさらに後ずれ

~FF先物は25年に1回のみの利下げを織り込み~

桂畑 誠治

要旨
  • 25年1月の消費者物価(総合)は、前月比+0.5%(前月同+0.4%)と市場予想中央値の同+0.3%を上回った(筆者予想同+0.3%)。エネルギーがガソリン、電気、ガス等の低下で前月比+1.1%(同+3.4%)と鈍化した一方、食品が肉、卵等の上昇によって前月比+0.4%(同+0.3%)と上昇したほか、エネルギー・食品を除く消費者物価(CPIコア)が同+0.4%(同+0.2%)と上昇し、市場予想中央値の+0.3%を上回った(筆者予想同+0.3%)。季節調整値の改定の影響のほか、複数回の暴風雪の襲来、ロサンゼルス近郊の大規模火災によって、1月のインフレ率が押し上げられた。
  • 1月のCPI統計を受け、パウエルFRB議長は、議会証言で、「FRBはインフレ率を目標に向けて押し下げる取り組みで大きな進展を遂げているが、まだ完全には達成していないことを示している」と発言し、「われわれは当面、引き締め的な政策を維持したい考え」と当面現状水準で政策金利を維持することが適切との見方を改めて示した。
  • 市場予想を上回った1月のCPI統計を受け、FF金利先物の織り込む3月FOMCでの据え置きの可能性は約97%(前日約95%)、5月FOMCまで据え置きの可能性が約87%(同約78%)、6月FOMCまで据え置きの可能性が約65%(同約50%)に上昇した。また、FF金利先物が示す25年末のFFレートの水準は、4.07%(同3.99%)と上昇し、25年に1回の利下げ織り込みとなったほか、米短期金融市場では次回の利下げ予想が9月から12月に後ずれした。 金融市場では、2年国債利回り、10年国債利回りが大幅に上昇し、ドルが対円、対ユーロで強含み、主要株価指数は下落した(P5)。
  • CPIコアでは、財コアが前月比+0.3%(前月同▲0.0%)、サービスコアが+0.5%(同+0.3%)と上昇した。財コアでは、医療用品、余暇商品、教材、アルコール飲料、その他財が上昇に転じたうえ、ロサンゼルス近郊の大規模火災や暴風雪の被害等による需要の高まりを背景に、中古車、自動車部品等が上昇した。さらに、情報機器が下落に歯止めがかかり横ばいとなった。サービスコアでは、旅行客の増加のほか、自然災害などによる需要の拡大によってホテルが上昇に転じたほか、病院・関連サービス、レンタカー、自動車メンテナンス・修理、自動車保険、医療保険などが上昇した。また余暇サービス、電話サービス、インターネットサービス、上下水道・ゴミ収集サービスが上昇した。
  • CPIコアの上昇モメンタムをみると、3ヵ月前対比年率で+3.8%(前月+3.1%)、6ヵ月前対比年率で+3.7%(前月+3.1%)と上昇を続けており、インフレの下げ渋りを示している。
  • 前年同月比の動きをみると、総合が+3.0%(前月+2.9%)と上昇し、市場予想中央値同+2.9%を上回った。食品が+2.50%(同+2.51%)と小幅低下した一方、エネルギーが+1.0%(同▲0.5%)と上昇に転じたほか、CPIコアが+3.26%(同+3.24%)と市場予想中央値の同+3.1%への低下に反して上昇した。
  • CPIコアを財、サービス別にみると、財コアが▲0.1%(同▲0.5%)と下落幅を縮小した一方、サービスコアが+4.3%(同+4.4%)と低下した。 財コアでは、中古車がロサンゼルス近郊の大規模火災や暴風雪の被害等によって需要が高まり上昇に転じた。さらに、医薬品など医療用品が上昇したうえ、家庭用耐久品・消耗品、新車が下落幅を縮小した。
  • サービスコアでは、レンタカー、携帯、インターネットが下落したほか、航空運賃、ホテル、専門医療サービス、病院・関連サービス、医療保険、賃貸料、帰属家賃、教育関連サービス、個人向けサービスが低下した。ただし、サービスコアは、低下傾向を辿っているものの、賃金上昇の影響を受け易い部門での上昇、住宅関連の高い上昇を背景に、前年比+4.3%と高い伸びを続けており、引き続きCPIコアの前年比での鈍い低下の主因となっている。
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桂畑 誠治

かつらはた せいじ

経済調査部 主任エコノミスト
担当: 米国経済

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