25年1月ISM製造業指数は22年10月以来の50台回復

~拡大した業種数は8業種にとどまっており限定的な回復~

桂畑 誠治

要旨
  • 25年1月のISM製造業景気指数(季節調整値)は、50.9(前月49.3)と前月比1.7%ポイント上昇し、市場予想中央値の50.0(筆者予想50.2)を上回った。22年10月の50.3以来、26カ月ぶりに拡大縮小の分岐点の50を上回り、米製造業部門が拡大に転じたことを示唆した。
  • 米大統領・議会選挙の終了や、天候の改善、スト終了等によって、先行き不透明感が弱まり、企業が設備投資、発注、採用などに前向きになりつつある。ただし、拡大した業種数が18業種中8業種にとどまっており、限られた業種による米製造業部門の回復となっている。
  • 企業の回答では、トランプ関税によってサプライチェーンの見直しやコスト増加への対応が必要になることが指摘された他、中国政府が24年12月からガリウム、ゲルマニウム、アンチモンなどの対米輸出を原則禁止した影響が指摘された。
  • 1月の構成項目別の前月からの変化では、在庫が低下した一方、生産、新規受注、雇用、入荷遅延が上昇した。在庫は、需要の拡大、生産の遅れによって45.9(前月48.4)と在庫の減少幅の拡大を示した。一方、雇用は、50.3(同45.4)と上昇した。レイオフ、自然減、採用凍結による人員削減のペースが鈍化したことで50台を回復した。ただし、増加した業種数が4業種(同2業種)にとどまっている。新規受注は、55.1(同52.1)と在庫の減少や一部の業種での25年に向けた期待の高まりを背景に上昇した。拡大した業種数は18業種中9業種(同5業種)と徐々に増加しており、緩やかな需要の回復を示している。また、生産は、52.5(同49.9)と50台を回復したが、拡大した業種数は18業種中6業種(同5業種)にとどまっており、限られた業種による回復となっている。さらに、入荷遅延は50.9(同50.1)と上昇したが、水準は高くなく概ね予定通りの入荷が行われたことが示された。 インフレの動向を示す仕入価格指数は、54.9(前月52.5)と3ヵ月連続で上昇し、緩やかなインフレ圧力の高まりが示唆された。
  • 1月に拡大した業種は、全18業種のうち繊維、一次金属、石油・石炭製品、化学製品、一般機械、輸送機器、プラスチック・ゴム製品、電気設備・部品の8業種(前月7業種)に増加した(下線は拡大・縮小が2カ月以上続いたことを示す)。
  • 今後の製造業部門の活動は、トランプ政権2期目の貿易戦争に対する警戒、国外経済の停滞、ドル高が抑制要因となるものの、米景気の堅調持続、規制緩和、金融環境の緩和期待を背景とした設備投資の拡大や在庫の積み増しなどを受け、活発化する公算が大きい。
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桂畑 誠治

かつらはた せいじ

経済調査部 主任エコノミスト
担当: 米国経済

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