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トランプ政権が穏健なら3月FOMCで利下げ再開?

藤代 宏一

要旨
  • 日経平均株価は先行き12ヶ月42,000円程度で推移するだろう。
  • USD/JPYは先行き12ヶ月155円程度で推移するだろう。
  • 日銀は半年に一度の利上げを続け、2026年1月までに政策金利は1.0%に到達しよう。
  • FEDはFF金利を25年央までに4.0%まで引き下げ、その後は様子見に転じるだろう。
目次

金融市場

  • 前営業日の米国市場は、S&P500が▲0.5%、NASDAQが▲0.5%で引け。VIXは16.6へと上昇。

  • 米金利はツイスト・フラット化。予想インフレ率(10年BEI)は2.409%(▲0.2bp)へと低下。

実質金利は2.118%(▲0.2bp)へと低下。長短金利差(2年10年)は+31.1bpへとプラス幅縮小。

  • 為替はUSDが中位程度。USD/JPYは155前半へと低下。コモディティはWTI原油が72.6㌦(▲1.1㌦)へと低下。銅は9068.0㌦(+81.0㌦)へと上昇。金は2769.8㌦(+2.3㌦)へと上昇。

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注目点

  • 1月FOMCでは、圧倒的大多数の市場関係者が予想していた通り、政策金利の据え置きが決定され、FF金利(誘導目標レンジ上限、以下全て同じ)は4.5%とされた。2024年9月に始まった連続利下げ局面は半年も経過しない内に終わったことになるが、インフレ再燃の懸念が残存する中、景気が堅調である以上、3会合で累積1%ポイントというこれまでの利下げペースを緩めることは、多くの投資家にとって納得感がある。今回のFOMCは、ここ数年で最も予測が容易であったと言えよう。

  • 筆者は3月と6月のFOMCで利下げを実施し、FF金利が4%まで下がった後、しばらく様子見に転じると予想している。ただし、トランプ大統領の主張する関税引き上げや移民制限が現在予想されているものより穏健になるのであれば、年後半も利下げが継続し、結果的に四半期ごとの利下げとなる可能性があるとみている。現時点でFF金利先物から逆算した年内の利下げ回数は2回弱に留まっているが、安心感のある結果だった2024年12月CPIに続き、2025年1月と2月のCPIでインフレ率鈍化が確認できれば、3月FOMCにおける利下げが俎上に上るだろう。この点FOMCで強い発言力を持つとされる、ウォーラー理事は1月16日に「インフレが抑制され、労働市場が堅調であれば、数カ月後に利下げ再開を検討できるだろう。3月の可能性を完全に排除することはできないと思う。大きな進展があれば、さらに踏み込むことも可能だ」としている。

  • 今回、FOMC声明文ではインフレに関する判断に変化がみられた。12月FOMCまで記載のあった「Inflation has made progress toward the Committee’s 2 percent objective but remains somewhat elevated」という表現は「Inflation remains somewhat elevated」に書き換えられた。「2%に向けて低下している」という表現が削除されたことは一見するとインフレに対する警戒感を強めたような印象を受けるが、この点についてパウエル議長は「表現の整理・短縮化に過ぎない」とした。

  • その上で3月の利下げについては「政策調整を急ぐ必要はない」と強調。また「インフレ目標を達成するために労働市場が一段と弱体化する必要はない」とした他、「インフレのさらなる改善が見込まれるが、実際の改善を確認したい」との見解を示した。端的に言えば、雇用統計よりもPCEやCPIなどインフレデータに集中するということであった。また、ピークから1%ポイント低下した現在の金利水準については「中立金利を有意に上回っている」、「我々の政策スタンスは非常に適切に調整されていると考えている」とした。

  • トランプ政権の政策運営が金融政策に与える影響については「財政、規制、関税、移民政策がどのように展開していくかは不明」、「関税を巡る今後の展開の幅は極めて広い可能性がある」との回答に終始。また「大統領との接触はない」とした。政策を巡る不確実性は高いものの、それを必要以上に長く待つことで金融政策の調整が後手に回るリスクを踏まえると、結局はインフレ率の実績値が鈍化すれば、利下げを再開する運びになるのではないか。

藤代 宏一


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