米国 労働市場は軟化傾向も堅調さ維持(12月雇用統計)

~FRBは25年1月FOMCで政策金利を据え置く見込み~

桂畑 誠治

要旨
  • 24年12月の雇用統計では、非農業部門雇用者数が前月差+25.6万人に加速したうえ、失業率が4.1%に低下したことから、金融市場ではFRBの追加利下げがさらに後ずれするとの見方を強めた。25年1月のFOMCでFRBは、景気や労働市場が堅調さを維持するなか、インフレの下げ渋りを背景に、政策金利を据え置くと予想される。
  • 12月の雇用統計を受け、FF金利先物市場では、25年1月FOMCでの据え置きの織り込み度合いが96.8%に上昇し、25bpの利下げの織り込みが3.2%に低下したほか、25年末のFFレート誘導目標が4.06%と上昇した。雇用統計公表後、2、10年国債利回りが上昇し、ドルは対円、対ユーロで強含み、主要株価指数は水準を切り下げた(P5参照)。その後、ドルは対円で日銀の利上げ観測もあってドル安に転じた。
  • 12月の非農業部門雇用者数(事業所調査)が前月差+25.6万人(前月同+21.2万人)と加速し、市場予想中央値(ブルームバーグ集計)の同+16.5万人(筆者予想同+18.2万人)を上回った(10、11月合計で0.86万人下方修正)。また、雇用の増加基調は、3カ月移動平均で前月差+17.0万人(前月同+17.0万人)、6ヵ月移動平均で前月差+16.5万人(同+14.2万人)と、24年前半の同+20.7万人ペースから鈍化したものの、堅調なペースで安定している。
  • 民間部門では、医療・社会支援が前月差+6.95万人と、強い需要や人手不足を背景に引き続き最大の増加となったほか、小売業が需要の拡大するなかで前月減少した反動で同+4.34万人と大幅に増加した。また、需要の堅調な飲食店が同+2.98万人、保険が同+1.33万人、教育サービスが同+1.11万人、情報産業が同+1.0万人と高い伸びとなった。
  • このような中、平均時給は、前月比+0.3%(前月同+0.4%)と鈍化し、市場予想中央値(筆者予想+0.3%)と一致したものの、前年同月比では+3.9%(前月+4.0%)と低下し、市場予想中央値+4.0%(筆者予想+4.0%)を下回った。22年3月の前年同月比+5.9%をピークとした低下傾向が持続している。
  • 12月の失業率(U3、家計調査)は、4.1%(前月4.2%)と低下し、市場予想中央値の4.2%(筆者予想4.3%)を下回った。労働参加率は62.5%(同62.5%)とほぼ変わらず低い水準にとどまった。また、「失業率(U3)」に“現在は職探しをしていないが過去1年間に求職活動を行った人“と”正規雇用を探しているがパートタイムで働いている人“を失業者に加えた「広義失業率(U6)」は、7.5%(前月7.7%)と低下した。失業率は、23年4月の3.4%をボトムに緩やかに上昇しているが、依然として4%台前半の低い水準にとどまっており、良好な労働環境が持続している。
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桂畑 誠治

かつらはた せいじ

経済調査部 主任エコノミスト
担当: 米国経済

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