米国 製造業の回復が近づく(12月ISM製造業)

~拡大した業種数は7業種に増加~

桂畑 誠治

要旨
  • 24年12月のISM製造業景気指数(季節調整値)は、49.3(前月48.4)と市場予想中央値の48.2への低下に反して、前月比0.9%ポイント上昇し、米製造業部門の縮小ペース鈍化が示された。
  • 米大統領・議会選挙の終了や、天候の改善、スト終了等によって、先行き不透明感が弱まり、企業が設備投資や在庫投資に前向きになりつつある。拡大した業種数が18業種中7業種に増加しており、米製造業部門の回復が近づいている。製造業景気指数は、長期に亘り50を下回っているが、内需の堅調を背景に、米国が景気後退に陥った時期の水準を上回って推移しており、バイデン政権下で製造業部門が深刻な調整の回避に成功したことを示している。
  • 12月の構成項目別の前月からの変化では、雇用が低下した一方、生産、新規受注、入荷遅延、在庫が上昇した。構成項目別の総合指数への寄与度をみると、雇用が前月比▲0.56%ptの押し下げ寄与となったものの、生産が前月比+0.70%pt、新規受注が前月比+0.42%pt、入荷遅延が前月比+0.28%pt、在庫が前月比+0.06%ptの押し上げ寄与となった。水準では、新規受注、生産、入荷遅延が50を上回った一方、雇用、在庫が50を下回った。 雇用は、45.3(前月48.1)と低下し、レイオフ、自然減、採用凍結による人員削減の継続で50を下回っており、増加した業種数が2業種(前月3業種)にとどまった。一方、新規受注は、52.5(前月50.4)と在庫の減少や一部の業種での25年に向けた期待の高まりを背景に上昇した。ただし、拡大した業種数は18業種中5業種(前月3業種)にとどまっており、緩やかな需要の回復を示している。また、生産は、50.3(前月46.8)と50を回復したが、拡大した業種数は18業種中5業種(前月6業種)にとどまっており、限られた業種による回復となっている。在庫は、48.4(同48.1)と在庫の減少幅の縮小を示したが、生産抑制の影響もあり増加した業種数は5業種(前月3業種)にとどまった。入荷遅延は50.1(前月48.7)と50を回復、概ね予定通りの入荷が行われたことが示された。
  • 12月に拡大した業種は、全18業種のうち一次金属、電気設備・部品、木材製品、家具・同関連、紙製品、その他製造業、プラスチック・ゴム製品の7業種(前月3業種)に増加した(下線は拡大・縮小が2カ月以上続いたことを示す)。
  • 今後の製造業部門の活動は、トランプ政権2期目の貿易戦争に対する警戒、国外経済の停滞、ドル高が抑制要因となるものの、規制緩和、FRBの利下げ継続期待を背景とした設備投資や在庫投資の増加ペース加速などを受け、活発化する公算が大きい。
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桂畑 誠治

かつらはた せいじ

経済調査部 主任エコノミスト
担当: 米国経済

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