米国雇用増加も労働市場の軟化が継続(11月雇用統計)

~12月FOMCでの25bpの利下げ予想は変わらず~

桂畑 誠治

要旨
  • 24年11月の雇用統計では、非農業部門雇用者数の増加ペースが前月のハリケーン襲来の反動やストライキの終了を受け速まったものの、天候要因やストの影響を受け難い失業率が4.2%と上昇したことから、FRBが12月に利下げを実施するとの見方が維持された。11月の失業率は労働参加率の低下によって4.4%への上昇を回避しており、労働市場の実態は一段と軟化したと判断される。また、インフレが10月にかけて鈍いながらも低下傾向を辿っていることから、FRBは12月のFOMCで25bpの利下げを実施し、労働市場の一段の軟化回避を目指すと予想される。
  • 11月の雇用統計を受け、FF金利先物では、12月FOMCでの25bpの利下げの織り込みが86.0%(据え置きの織り込み度合い14.0%)と上昇したほか、25年末のFFレート誘導目標が3.69%と小幅低下した。雇用統計公表後、2、10年国債利回りが低下し、ドルは対円、対ユーロで弱含み、主要株価指数は水準を小幅切り上げた(P5参照)。
  • 11月の非農業部門雇用者数(事業所調査)が前月差+22.7万人(前月同+3.6万人)と市場予想中央値(ブルームバーグ集計)の同+22.0万人(筆者予想同+16.8万人)を小幅上回った。ボーイングなどでのストライキ終了によって3万7500人の押し下げ要因がなくなったほか、ハリケーン襲来の影響の剥落によって、押し上げられた。また、9、10月合計で5.6万人上方修正されたこともあり、3カ月移動平均で前月差+17.3万人(前月同+12.3万人)と加速した。ただし、増加ペースは6月以降水準を切り下げたままであるほか、6ヵ月移動平均でも前月差+14.3万人(前同+14.1万人)と減速している。
  • 11月は、政府部門が前月差+3.3万人(前月同+3.8万人)と小幅鈍化にとどまった。また、民間部門が同+19.4万人(同▲0.2万人)と市場予想中央値(ブルームバーグ集計)の同+20.5万人(筆者予想同+15.8万人)を下回ったが、増加に転じた。 民間部門では、医療・社会支援が前月差+7.23万人と、堅調な需要や人手不足により引き続き最大の増加となったほか、天候の改善で飲食店が同+2.89万人、ストライキの終了により航空・宇宙などその他輸送機器主導で製造業が同+2.2万人、製造業の影響を受け易い派遣業が同+0.16万人と増加した。また、芸術・エンターテイメント・余暇(同+1.84万人)、専門・技術サービス(同+1.59万人)、建設業(同+1.0万人)が高い伸びとなった。
  • このような中、平均時給は、前年同月比+4.0%(前月+4.0%)と、市場予想中央値+3.9%(筆者予想+3.9%)を上回った。ただし、11月は賃金の低い小売業の雇用減少によって上振れており、22年3月の前年同月比+5.9%をピークとした低下傾向が持続していると判断される。
  • 11月の失業率(U3、家計調査)は、4.2%(前月4.1%)と、労働参加率が62.5%(同62.6%)と低下する形で失業率の上昇が抑えられたにもかかわらず、市場予想中央値の4.1%(筆者予想4.2%)を上回った。労働参加率が前月と同率であれば、失業率は4.4%に上昇していた。労働市場の軟化継続を示している。
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桂畑 誠治

かつらはた せいじ

経済調査部 主任エコノミスト
担当: 米国経済

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