- 要旨
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日経平均株価は先行き12ヶ月42,000円程度で推移するだろう。
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USD/JPYは先行き12ヶ月155円程度で推移するだろう。
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日銀は12月に政策金利を0.50%に引き上げ、25年末までに1.0%への到達を見込む。
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FEDはFF金利を25年末までに3.50%まで引き下げ、その後は様子見に転じるだろう。
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金融市場
- 前営業日の米国株は休場。USD/JPYは151半ばで一進一退。
注目点
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日本の10月鉱工業生産は前月比+3.0%と2ヶ月連続の増産。ただし経産省予測値(同+5.1%)および市場予想(同+4.0%)は下回っておりやや期待外れであった。自動車生産が大幅に回復した他、半導体製造装置の増産を主因に一般機械が伸び、その2業種で2.6%ptの押し上げ寄与となった。他方、株式市場との関係が深い電子部品・デバイス工業は大幅減産で先行きも慎重な計画が示された。
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鉱工業生産全体の方向感を決める自動車工業は、大手メーカーの工場稼働停止によって1・2月に垂直的落下(累積▲24.0%)を経験した後、大幅な振れを伴いつつも回復傾向にあったが、8月は台風の影響もあって前月比▲10.6%と大幅減産となった。その後9月は同+7.1%と大幅増産となり、10月も同+6.4%と一段と伸びた。それでも自動車の生産水準は、認証不正問題が発覚した2023年10-12月期を5.0%下回った状態にある。この間、需要側に大きな問題が発生していないことを踏まえれば、先行きはその分だけ増産の余地があると考えることができ、鉱工業生産全体の押し上げ要因として期待される。
- 自動車と並ぶ重要産業である半導体関連については、電子部品・デバイス工業が前月比▲8.5%と大幅減産。これまでの反動もあってかメモリが同▲17.8%と大きく落ちこんだ。他方、生産用機械に分類される半導体製造装置は同+67.2%となり、過去数ヶ月の低下を一気に埋め、既往最高値付近に回帰。一般機械でみても同+21.7%という突発的な増産となった。先行指標の機械受注統計(機種別集計の電子計算機等)を見る限り、半導体製造装置の引き合いは堅調と思われる。なお、年末までに本格稼働と伝わっている熊本県の半導体工場についてはその時期、またそれが生産統計にいつ、どのように反映されるのか等、明らかになっていない情報が多い。
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11月初旬に実施された生産予測調査に基づけば、製造工業の生産計画は11月が前月比▲2.2%、12月が同▲0.5%と弱い。経産省経済解析室が生産予測指数の上振れバイアスを補正した11月の予測値は同▲4.1%の減産となっており、仮にこの通りになれば10月の増産は帳消しになる。注目の輸送機械工業の生産計画は11月に同▲3.0%、12月に同▲1.0%と慎重。自動車工業は、過去数年の世界的供給制約によって積み上がった潜在需要を背景に息の長い増産が期待できるものの、当面は品質確保を優先する動きから生産台数を抑制する状況が残存する模様。一方、北米市場では自動車ローン金利の高止まりによって販売が頭打ちになっているものの、Fedの利下げが追い風となろう。
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株式市場と関連の深い電子部品・デバイス工業の生産に目を向けると、上述のとおり10月の生産は前月比▲8.5%となり、前年比では+5.7%へと伸び率縮小。生産計画は11月に前月比▲2.7%となった後、12月は同▲1.4%と力強さに欠く。在庫調整の進展に鑑みると先行きは増産に復すると予想されるが、増勢が強まる姿は描きにくくなっている。電子部品・デバイス工業の出荷と在庫に注目すると、10月は出荷が前年比▲0.6%とマイナス圏に押し戻され、在庫は同▲19.3%へとマイナス幅が拡大したことから、出荷・在庫バランス(両者の前年比差分から算出)は+18.7%ptへ低下した。3ヶ月平均でも+24.3%と下向きの曲線を描きつつある。ここで長期的に電子部品・デバイス工業の出荷・在庫バランスと、日経平均株価が連動性を有してきたことを再確認したい。株価指数において半導体を直接手掛ける企業の存在感は必ずしも大きくはないが、半導体製造装置や化学品など「広義半導体」で見ればその存在感は大きく、結果的に日本株全体のうねりを作り出すという構図があると筆者は理解している。

- 先行きの出荷・在庫バランスを見極めるために在庫循環図の位置取りを確認すると、現在は右下領域(在庫減・出荷増)にあり、逆走するように進路を「西(出荷減方向)」にとっている。過去の経験則に従えば、今後は出荷増に対応するための在庫積み増しによって右上領域(在庫増・出荷増)に向けて「北上」すると予想される。この時、在庫の増加は出荷のそれを上回る傾向にある(※在庫循環図のグラフは横軸が▲20から+20、縦軸が▲50から+50)。そのため出荷・在庫バランスは下方向に推移する公算が大きい。株式市場との関連で言えば、出荷・在庫バランスが上向きに転じている局面は、半導体市況に反転の兆しが見えてきた頃に概ね一致し、関連企業の業績下振れリスクが後退することで、株価は大きく上昇する。まさに相場格言で言うところの「強気相場は悲観の中で生まれ、懐疑の中で育つ」状況と言える。それに対して出荷・在庫バランスがプラス領域で下り坂に転じつつある現在の状況は「(強気相場は)楽観の中で成熟し」に近いものがある。ここから出荷・在庫バランスが更に伸びを高める可能性は低いと判断せざるを得ないが、株価は緩やかながらも伸びを保ち、上値を切り上げると予想される。

藤代 宏一
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