10月ISM非製造業景気指数はハリケーン襲来の影響で上昇

~ISM景気指数は米経済の秩序だった減速を示す~

桂畑 誠治

要旨
  • 24年10月のISM非製造業景気指数(総合、季節調整値)は、56.0(前月54.9)と市場予想中央値の53.8(筆者予想54.5)への低下に反して前月比1.1%ポイント上昇した。活動指数、新規受注が低下したものの高い水準を維持するなか、雇用、入荷遅延が上昇した。ただし、入荷遅延はハリケーン襲来や港湾ストの影響で上昇しており、非製造業部門は22年をピークに緩やかな減速傾向を辿っていると判断される。米国では、製造業部門の調整が長期化するなかで、非製造業部門の拡大ペースの緩やかな鈍化によって、秩序だった景気減速が続いている。
  • 調査対象企業のコメントでは、「政治的不確実性に対する懸念は先月よりも広がっている」と米大統領・議会選挙への懸念を強めていたことが指摘された。また、10月3日に米港湾労働者組合の国際港湾労働者協会(ILA)と雇用者団体の米海運連合(USMX)が、6年間に62%の賃金引き上げで暫定合意し、10月4日から港湾が再開された。約半世紀ぶりの大規模ストライキ(東海岸とメキシコ湾岸の港湾での一斉ストライキ)は3日間で終了したものの、ストの影響を回避するためにとった措置によって配送の遅れが生じたほか、相次ぐハリケーン襲来によって、サプライチェーンが混乱したことが指摘された。
  • 10月の活動指数では、拡大した業種が18業種中9業種(前月12業種)に減少したが、縮小した業種が2業種(同3業種)にとどまっており、非製造業活動は堅調さを維持している。また、新規受注は18業種中12業種(前月11業種)の拡大、3業種(同3業種)の縮小と選挙後の需要加速が示唆された。一方、雇用では季節労働者が増加したほか、入荷遅延はハリケーン襲来、港湾ストの影響で上昇した。
  • 米国経済全体の景気動向を示す「ISM総合景気指数(非製造業景気指数と製造業景気指数の合成)」は、10月に55.1(前月54.1)と上昇し、拡大ペースの加速が示された。四半期では、10-12月期の製造業が46.5と7-9月期の47.1を下回った一方、非製造業が56.0と7-9期の52.6を上回った。この結果、10-12期のISM総合景気指数は、55.1と7-9月期の52.0から上昇しており、10-12月期の米景気が減速しているものの堅調さを維持していることを示している。
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桂畑 誠治

かつらはた せいじ

経済調査部 主任エコノミスト
担当: 米国経済

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