米大統領選を控え製造業部門調整(10月ISM製造業)

~先行き不透明感による投資抑制の継続~

桂畑 誠治

要旨
  • 24年10月のISM製造業景気指数(季節調整値)は、46.5(前月47.2)と市場予想中央値の47.6(筆者予想46.8)への上昇に反して、前月比0.7%ポイント低下した。新規受注、雇用が上昇したものの、生産、在庫の低下によって、米製造業部門の調整幅が拡大した。接戦予想の米大統領・議会選挙を背景とした先行き不透明感の高まり等によって、企業が設備投資や在庫投資に消極的になり、ISM製造業景気指数は製造業部門の停滞を示している。ただし、製造業景気指数は米国が景気後退に陥った時期の水準を依然上回っており、米景気全体の悪化を示していない。。
  • 10月の構成項目別の水準では、入荷遅延が50を上回った一方、生産、新規受注、雇用、在庫が50を下回ったままとなった。入荷遅延は52.0(前月52.2)と小幅低下したが、入荷の遅延が続いたことが示された。ただし、需要の強さによる上昇ではない。サプライヤーの生産能力には余裕があるものの、企業が購入した材料在庫の管理をサプライヤーにより依存するようになったため、サプライチェーンの負担が増し、納入の遅れに繋がっている。一方、生産は、46.2(前月49.8)と低下し、生産の拡大した業種は18業種中6業種(前月5業種)にとどまったほか、新規受注は、政策に対する不透明感のほか、高い金利水準、コスト上昇等を背景とした景気の先行き不透明感の強まりによって50を下回っており、拡大した業種は18業種中3業種(前月2業種)にとどまった。また、雇用は、レイオフ、自然減、採用凍結による人員削減によって、増加した業種数が3業種(前月2業種)にとどまり、44.4(前月43.9)と低い水準となった。さらに、在庫は、生産抑制の影響もあり2業種(前月1業種)の増加にとどまり、全体で42.6(同43.9)とさらに低下、在庫の減少幅の拡大を示した。
  • インフレの動向を示す仕入価格指数は、54.8(前月48.3)と大幅に上昇し、インフレ圧力の再燃が示唆された。商品別では、アルミニウム、段ボール箱、銅、原油、天然ガス、紙、プリント基板、道路貨物等の価格が上昇した。供給不足品では、電気部品に加えて、電子部品が挙げられた。
  • 今後の製造業部門の活動は、FRBが9月に大幅な利下げを実施したものの、11月の米大統領・議会選挙の不透明感を背景に11月にかけて調整を続けると予想される。しかし、米大統領選挙後の12月以降、米政策に対する不透明感の緩和や、FRBの利下げ継続期待の高まりを背景にとした設備投資や在庫投資の増加ペース加速などを受け、米製造業の活動は活発化する公算が大きい。
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桂畑 誠治

かつらはた せいじ

経済調査部 主任エコノミスト
担当: 米国経済

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