米国8月雇用統計は労働市場の秩序だった減速を示す

~9月の利下げの織り込みは50bpよりも25bpが高い~

桂畑 誠治

要旨
  • 24年8月の雇用統計では、非農業部門雇用者数の増加ペースが市場予想を下回った一方、失業率が4.2%と低下したほか、平均時給の上昇率が予想を上回るなど、労働市場が緩やかに減速しており、急激に悪化していないことが確認された。景気が底堅く推移するなか、FRBは、現時点で9月のFOMCで25bpの利下げを実施すると予想される。ただし、8月小売統計など景気の悪化懸念を強める経済指標が公表されたり、金融市場が混乱したりすれば、50bpの利下げを実施しよう。
  • 8月の非農業部門雇用者数(事業所調査)が前月差+14.2万人(前月同+8.9万人)と加速したが、市場予想中央値(ブルームバーグ集計)の同+16.5万人(筆者予想同+18.2万人)を下回った。景気減速に伴う労働市場の鈍化が続くなかで、悪天候等で前月に下振れたうえ、6、7月合計で8.6万人下方修正されたこともあり、3カ月移動平均では前月差+11.6万人(前月同+14.1万人)と巡航速度付近まで減速した。また、6ヵ月移動平均でも、前月差+16.4万人(前月同+18.0万人)と減速している。これらは、米経済成長が巡航速度に鈍化していることを示しており、景気後退を示唆していない。
  • 8月の失業率(U3、家計調査)は、4.2%(前月4.3%)と低下し、市場予想中央値と一致した(筆者予想4.3%)。労働参加率は62.7%(前月62.7%)とほぼ変わらずとなった。また、高いほど労働環境が良好であることを示す自発的失業率が11.9%(前月11.9%)と横ばいにとどまり、労働環境の急激な悪化を示していない。

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桂畑 誠治


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桂畑 誠治

かつらはた せいじ

経済調査部 主任エコノミスト
担当: 米国経済

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