米国 7月雇用統計が予想を下振れ大幅利下げ観測台頭

~失業率の4.3%への上昇は景気の後退ではなく減速を示す内容~

桂畑 誠治

要旨
  • 24年7月の雇用統計では、失業率が4.3%と予想以上に上昇したほか、非農業部門雇用者数の増加幅や平均時給上昇率の予想の下振れなど、労働市場の急激な鈍化が示され、景気後退懸念が高まった。FF金利先物は、9月FOMCでの50bpの利下げの織り込み度合いを74%と前日の22%から強め、合計150bpの年内利下げを織り込み始め、利下げペースの加速観測が強まった(P2参照)。これにより、2、10年国債利回りが大幅に低下し、ドルは対円、対ユーロで下落した。一方、主要株価指数は、大幅利下げ期待から雇用統計公表後の下げを一旦取り戻したものの、景気悪化への警戒から下げに転じ下落幅を拡大した(P5参照)。
  • 7月の非農業部門雇用者数(事業所調査)が前月差+11.4万人(前月同+17.9万人)と減速し、市場予想中央値(ブルームバーグ集計)の同+17.5万人(筆者予想同+16.8万人)を下回った(5、6月合計2.9万人下方修正)。ただし、非農業部門雇用者数は、悪天候など一時期な要因によって変動が大きくなり易いため、基調を見る必要がある。3カ月移動平均では、前月差+17.0万人(前月同+16.8万人)と21年1月の同+14.1万人以来の緩やかな増加ペースに減速した。6ヵ月移動平均でも、前月差+19.4万人(前月同+21.8万人)と減速している。これらは、米経済成長が巡航速度に鈍化していることを示しているが、景気後退を示唆していない。
  • 7月の失業率(U3、家計調査)は、4.3%(前月4.1%)と上昇し、市場予想中央値の4.1%(筆者予想4.1%)を上回った。労働参加率が62.7%(前月62.6%)と上昇する形で上昇しており、仮に参加率が6月同率であれば、失業率は4.1%にとどまっていた。また、悪天候のために仕事をしなかったと答えた⼈数が例年を大幅に上回る水準に急増したことから、ハリケーン「ベリル」の襲来、洪水、停電、熱波によって、失業者数がある程度は押し上げられた可能性がある。

グラフなど詳細につきましては本文をご覧ください。

桂畑 誠治


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桂畑 誠治

かつらはた せいじ

経済調査部 主任エコノミスト
担当: 米国経済

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