都区部版・日銀基調的インフレ率の試算(2024/07)

~基調部分の勢いは弱まっている~

星野 卓也

目次

資料1.数表:試算した都区部版・基調インフレ率と日銀の全国CPI 基調インフレ率(前年比・%)
資料1.数表:試算した都区部版・基調インフレ率と日銀の全国CPI 基調インフレ率(前年比・%)

刈込平均・加重中央・最頻いずれも伸び率鈍化

以前のレポートで試算した①東京都区部版の基調的インフレ率3指標、②日銀が賃金から物価への波及度合いを分析する際に利用した低変動品目CPIについて、本日公表の7月都区部CPIを用いて計算した。

計算値を見ると、刈込平均値(全国ウェイト換算)は6月:+2.3%→7月:+2.0%、加重中央値(全国ウェイト換算)は6月:+1.3%→7月:+0.7%、最頻値は6月:+1.7%→7月:+1.5%、低変動品目CPIは6月+1.3%→7月:+1.3%となった(いずれも前年比)。刈込平均・加重中央・最頻値の3指標がいずれも伸び率を鈍化させており、基調部分の勢い(物価上昇の品目間の広がり)は弱まっているように映る。

加重中央値(全国ウェイト)の低下の背景には、ウェイトの大きい携帯電話通信料の伸び率が急低下(6月+8.8%→7月+0.6%)し、加重中央値よりも高い品目から低い品目にシフトした点がある。同品目は23年7月に料金プラン変更等の影響で急上昇(前月比+8.2%)しており、24年6月分まで前年比伸び率の押し上げ要因となってきたが、それが一巡した形である。平時の姿に戻ったという意味で、今回の24年7月の数字の方が実力には近いと言えそうである。

既往のコストプッシュ要因(いわゆる第一の力)の減衰や個人消費の低迷の中で、物価上昇の広がりを示す本稿試算値は低下傾向にある。日銀会合を来週に控えているが、少なくともファンダメンタルズ上の観点では7月の利上げを急ぐ内容にはみえない。

資料2.試算した都区部版・基調インフレ率と日銀の全国CPI基調インフレ率(前年比・%)
資料2.試算した都区部版・基調インフレ率と日銀の全国CPI基調インフレ率(前年比・%)

(参考文献)

星野(2023)「東京都区部版・日銀基調的インフレ率の試算」第一生命経済研究所 Economic Trends

星野(2024)「日銀の「第二の力」指標を再現してみた」第一生命経済研究所 Economic Trends

川本・中浜・法眼(2015)「消費者物価コア指標とその特性 — 景気変動との関係を中心に —」日銀レビュー・シリーズ、15-J-11

白塚(2015)「消費者物価コア指標のパフォーマンスについて」日銀レビュー・シリーズ、15-J-12

尾崎・神保・八木・吉井(2024)「賃金・物価の相互連関を巡る最近の状況について」日銀レビュー 2024-J-2

星野 卓也


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星野 卓也

ほしの たくや

経済調査部 主席エコノミスト
担当: 日本経済、財政、社会保障、労働諸制度の分析、予測

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