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5月ユーロ圏消費者物価

~賃金・物価が上振れも、6月の利下げ開始へ~

田中 理

要旨
  • 5月31日に発表された5月のユーロ圏の消費者物価の速報値は前年比+2.6%と、過去2ヶ月の同+2.4%から再加速した。食料・アルコール飲料・たばこ価格(前月:同+2.8%→今月:同+2.6%)の上昇率が再び鈍化した一方で、エネルギー価格(同▲0.6%→同+0.3%)が前年同月の反動もあり、昨年4月以来のプラス圏に復帰したことに加えて、変動の大きい食料・エネルギー・アルコール飲料・たばこを除いたコア物価(同+2.7%→同+2.9%)が再加速し、ヘッドラインの計数を押し上げた。
  • コア物価の詳細は6月18日発表の確報値の結果を待たなければならないが、速報段階で入手可能な内訳からは、エネルギーを除く工業製品価格(同+0.9%→同+0.8%)の上昇率が一段と鈍化した一方、サービス価格(同+3.7%→同+4.1%)が再加速し、ほぼ同じ上昇率ながら、過去半年で最も高い水準にある。後述する特殊要因に加えて、先日の1~3月期のユーロ圏の妥結賃金の上振れで示されたように、過去数年の高インフレが最近の賃金交渉に遅れて反映されるなか、賃金上昇がサービス物価の高止まりにつながっている。
  • EUの統一基準でみた国別計数は、エネルギー価格の押し下げが続くイタリア(同+0.9%→同+0.8%)の上昇率が僅かに鈍化したものの、一昨年の旅行支援(49ユーロチケット)の反動で下振れした昨年の反動増や、例年より休暇が多かったことによるパッケージ旅行の上振れでドイツ(同+2.4%→同+2.8%)が押し上げられたほか、エネルギー価格の反動でフランス(同+2.4%→同+2.7%)とスペイン(同+3.4%→同+3.8%)が押し上げられた。
  • 先日の妥結賃金に続き、インフレ率もECBの想定を上振れたが、何れも一過性の要因(前者はドイツの一時金の支給月、後者は旅行支援の反動や祝日増加による旅行費用の上振れ)による押し上げもあり、6月6日のECB理事会での利下げ開始の判断を覆すものではない。

図表を含めた全文はPDFファイルをご覧ください。

田中 理


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田中 理

たなか おさむ

経済調査部 首席エコノミスト(グローバルヘッド)
担当: 海外総括・欧州経済

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