- 要旨
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- 日経平均は先行き12ヶ月34,000程度で推移するだろう。
- USD/JPYは先行き12ヶ月138程度で推移するだろう。
- 日銀は2024年前半にマイナス金利を撤廃するだろう。
- FEDはFF金利を5.50%(幅上限)で据え置くだろう。利下げは24年後半を見込む。
金融市場
- 前日の米国株は上昇。S&P500は▲0.9%、NASDAQは▲1.5%で引け。VIXは15.1へと上昇。
- 米金利はツイスト・スティープ化。予想インフレ率(10年BEI)は2.358%(▲1.5bp)へと低下。
実質金利は2.048%(+6.5bp)へと上昇。長短金利差(2年10年)は▲77.1bpへとマイナス幅拡大。 - 為替(G10通貨)はJPYが軟調。USD/JPYは148前半へと上昇。コモディティはWTI原油が90.3㌦(▲0.9㌦)へと低下。銅は8345.5㌦(+53.0㌦)へと上昇。金は1948.6㌦(+13.3㌦)へと上昇。
注目点
- 9月FOMCは市場予想通りに金融政策の現状維持を決定し、FF金利(誘導目標レンジ上限値、以下全て同じ)は5.50%で据え置かれた。また声明文や記者会見も従来から大きな変化はなかった。もっとも、3ヶ月に一度公表される経済、政策金利見通しは事前の予想対比でタカ派的な内容となり、金融市場は株価下落、金利上昇で反応。筆者もドットチャートの形状には驚きを禁じ得なかった。

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ドットチャートの中央値は2023年末が5.75%と前回から不変。追加利上げを支持した12名の参加者は、実際に利上げをするかは別として、インフレ再燃に備え、利上げの余地を残しておきたいと考えているのだろう。反対に7名の参加者は現状水準での据え置きを支持した。11月FOMCまでに蓄積されるデータが現在の基調とさほど変化しなければ、先の12名のうち数名が「据え置き派」に転向することで、全体として据え置き派が多数になると筆者はみている。直近の原油価格上昇は不確定要素そのものであるが、極端な動き(例えばWTI原油100ドル突破)に発展しなければ、次回FOMCまでの約2ヶ月間、平均時給の増勢が鈍化する下でコア・インフレは緩やかに低下基調を辿ると判断される。
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今回驚きだったのは2024年末。6月FOMCの段階では4.75%、すなわち4回分(1回25bp)の利下げが想定されていたが、今回は5.25%へと上方修正され、2回分の利下げとなった。まさに「高く・長く(higher for longer)」の構えであり、これは来年前半の利下げを見込んでいた市場参加者(含む筆者)に予想の変更を迫る結果であった。
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2025年は4.00%と2024年末対比で5回分の利下げが想定されたが、それでも2.5%と推計されている中立金利を明確に上回る引き締め領域であることに変わりはなく、2026年末ですら3.00%と中立金利に回帰しない形状となった。この間、物価見通しは2023年が+3.3%、2024年が+2.5%、2025年が+2.2%、2026年が+2.0%とされ、2%に終息していく姿が示されたが、FOMC参加者が認識するリスクは上振れ方向に傾斜した状態が続いた。またGDP成長率は2023年が+1.8%、2024年が+1.5%、2025-26年が共に+1.8%とされた。前回対比で2023-24年の成長率見通しが大幅に引き上げられたのが特徴的だった。

- 他方、8月にNY連銀が問題提起していたことで注目されていた(名目)中立金利は2.5%で中央値は不変だった。NY連銀によって+0.5%と推計されている自然利子率(R*、実質均衡金利)が実際はもっと高いのではという議論は、多くのFOMC参加者が案じているとみられるが、現時点でドットチャートの形状に大きな変化はみられなかった。もっとも平均値は2.75%へと2回連続で上方修正(3月:2.58%→6月:2.66%)された。コロナ期前後の経済構造の変化が、インフレの発火点を引き下げたのであれば、それに伴って中立金利は高くする必要がある。今後、この議論は利下げが始まる際、政策金利がどこを目指して低下していくのかを考察する時に非常に重要になることから、次回の更新(12月)も引き続き注視する必要がある。仮に中立金利が上方修正されるようだと、短期金利の期待値が上昇し(超)長期金利の上昇要因となる公算が大きい。

藤代 宏一
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