株高不況 株高不況

日本株快進撃 円高に注意 潮目変化は金融政策決定会合?

藤代 宏一

要旨
  • 日経平均は先行き12ヶ月31,500程度で推移するだろう。
  • USD/JPYは先行き12ヶ月130程度で推移するだろう。
  • 日銀は現在のYCCを10‐12月期に修正するだろう。
  • FEDはFF金利を5.25%(幅上限)で据え置くだろう。利下げは24年1-3月を見込む。
目次

金融市場

  • 前日の米国市場は上昇。S&P500は+0.2%、NASDAQは+0.4%で引け。VIXは14.0へと低下。
  • 米金利カーブはツイストスティープ化。予想インフレ率(10年BEI)は2.210%(▲0.5bp)へと低下。実質金利は1.463%(▲2.0bp)へと低下。長短金利差(2年10年)は▲82.3bpへとマイナス幅拡大。
  • 為替(G10通貨)はUSDが中位程度。USD/JPYは139後半で一進一退。コモディティはWTI原油が71.7㌦(▲0.4㌦)へと低下。銅は8339.0㌦(+4.0㌦)へと上昇。金は1965.5㌦(+7.5㌦)へと上昇。

図表1
図表1

図表2
図表2

図表3
図表3

図表4
図表4

図表5
図表5

注目点

  • 日本株快進撃の背景に、米国経済の下振れリスク後退があるだろう。5月雇用統計は投資家に安心感をもたらす結果であった。雇用者数の堅調な増加、労働参加率の緩やかな回復、平均時給の鈍化が示されたことで景気後退を回避しつつインフレが終息に向かうという最良の展開に期待が持てるようになった。

  • また製造業のサイクル好転も期待できる状況になりつつある。5月ISM製造業景況指数は46.9と4月から小幅に悪化したものの、それでも3月よりは高い水準を維持し、筆者が何度か言及してきた3月底説を支持する結果となった。「銀行の連鎖破綻など非循環的な景気下押し要因が発生しなければ」という環境を前提にすれば、年後半の業況改善に期待が持てる。また「在庫指数」は低下傾向を維持し水準も十分に低くなっている。ここから判断すると過剰に積み上がった在庫の調整はかなり進展しているとみられ、新規受注の底打ち時期が近いことを示唆している。

  • そうなれば米国株(S&P500)の予想EPSは下げ止まりが期待される。中長期的にISM製造業と予想EPSには驚くほど素直な関係があり、これはテック企業(≒非製造業)の存在感が増す中でも大きな変化は生じていない。ISM製造業が底打ちすれば、予想EPSは切り上がり、米国株は底堅さを増すと考えられる。言わずもがな、これは日本株の支援材料となる。これらを踏まえ、筆者は日経平均の先行き見通しを31,500へと引き上げる。

図表6
図表6

図表7
図表7

図表8
図表8

図表9
図表9

  • なお短期的な株価下押し要因として留意したいのは円高。円安がマクロ的にプラスであるか否かは議論の余地があるとはいえ、評価の対象を大企業製造業の塊である「株価指数」に絞れば、プラスに作用していると考えれる。実際、日米相対株価とUSD/JPYには強い連動性が認められており、この5月の日本株快進撃の一因になっている可能性は高い。もっとも、USD/JPYが140を超えてくると日銀が緩和修正を検討或いは実施に踏み切ることでUSD/JPYが反転下落する可能性は考えられる。6月の金融政策決定会合では金融政策の現状維持を予想するが、将来の緩和修正を示唆するなど円買いを促すような情報発信があれば相場の潮目が変化するのではないか。

図表10
図表10

藤代 宏一


本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。