株高不況 株高不況

利上げ終了の確度高まる

藤代 宏一

要旨
  • 日経平均は先行き12ヶ月28,000程度で推移するだろう。
  • USD/JPYは先行き12ヶ月137程度で推移するだろう。
  • 日銀は現在のYCCを2023年4月までは維持するだろう。
  • FEDは23年3月までにFF金利(誘導目標上限値)を5.0%へと引き上げるだろう。
目次

金融市場

  • 前日の米国株は上昇。NYダウは+0.6%、S&P500は+0.3%、NASDAQは+0.6%で引け。VIXは18.8へと低下。
  • 米金利はカーブ全般で金利低下。債券市場の予想インフレ率(10年BEI)は2.208%(▲1.6bp)へと低下。実質金利は1.224%(▲8.0bp)へと低下。
  • 為替(G10)はJPYが最強。USD/JPYは129前半へと低下。コモディティはWTI原油が78.4㌦(+1.0㌦)へと上昇。銅は9187.0㌦(+62.5㌦)へと上昇。金は1898.8㌦(+19.9㌦)へと上昇。

図表1
図表1

図表2
図表2

図表3
図表3

図表4
図表4

図表5
図表5

経済指標

  • 12月景気ウォッチャー調査は現状判断DIが47.9へと0.2pt低下。先行き判断DIは47.0へと1.9pt上昇。生活必需品の値上げによって消費者態度指数は低水準にある一方、消費者が顕著に節約志向を強めている様子は窺えず、中小企業の景況感は底堅さを維持している。

図表6
図表6

注目点

  • 12月米CPIは市場予想通りに減速。2月FOMCにおける利上げ幅の縮小(50bp→25bp)、及び3月FOMCにおける追加利上げ(25bp)を以って利上げが終了するとの筆者予想を支持する結果であった。

  • 総合CPIは前月比▲0.1%、前年比+6.5%であった。11月の前月比+0.1%、前年比+7.1%から明確に減速。食料が前月比+0.3%、前年比+10.1%と高止まりしたものの、エネルギーが前月比▲4.5%、前年比+7.3%と減速した。それらを除いたコアCPIは前月比+0.3%、前年比+5.7%であった。11月の前年比+6.0%から減速し、瞬間風速を示す3ヶ月前年率の伸びは+4.4%まで縮小した。

  • コアCPIの内訳はコア財が前年比+2.1%となり、いよいよディスインフレ領域に接近。サプライチェーン問題に起因する耐久財価格の急騰が落ち着き、マイナス圏突入も視野に入ってきた。2021-22年のインフレ率押し上げに寄与してきた中古車価格については先行指標のマンハイム中古車価格指数が下げ渋っているものの、CPIベースでは前月比▲2.5%と6ヶ月連続の低下。サプライチェーン絡みのインフレ終息を印象付けた。直近の企業サーベイから判断すると需要縮小とサプライチェーン正常化の相乗効果によって財価格は更なる低下が予想される。

図表7
図表7

図表8
図表8

図表9
図表9

図表10
図表10

図表11
図表11

  • CPI全体の約3割を占める家賃は前月比+0.8%、前年比+7.5%へと上昇加速。”昨年”までの家賃高騰が反映された形。CPIベースの家賃は必ずしも”直近”の家賃を反映する目的で作成されていないため、一定のタイムラグが生じる。そこで速報性に重きを置いたケース・シラー住宅価格指数やZillow住宅価格指数に目を向けると過去数ヶ月は垂直的な下落を示している。これら指数がCPI家賃に対して約1年の先行性を有してきたことを踏まえると、CPI家賃は間もなく鈍化が予想され、CPI全体を下押しすると予想される。

  • 「家賃を除くコアCPI」は既に減速基調が鮮明になっている。12月は前年比+4.4%となり2月の+7.6%から明確に減速。また企業の価格設定スタンスを示す指標(NFIB中小企業景況調査の質問項目である「3ヶ月先の販売価格計画」)が急低下していることに鑑みると、家賃以外のインフレが一段と鈍化する可能性は高い。

図表12
図表12

図表13
図表13

図表14
図表14

  • もっとも、労働市場が逼迫する下で賃金上昇圧力は強く残存したままである。賃金インフレが終息しない限りコアサービス物価は高止まりが予想されることから、インフレの「しつこさ」が浮き彫りになる可能性はある。また過去数ヶ月のインフレ率鈍化を主導してきたエネルギーについては中国経済の本格回復に伴う再上昇に留意する必要がある。原油のみならずコモディティ価格全般が現在の「低」水準から上昇すれば、CPIが再加速するのは自明。仮にそうなれば現在、金融市場参加者が想定している2023年の利下げシナリオ(2024年1月までに75bp、25bp刻み)は修正を迫られ、金利上昇圧力は増大する。賃金とコモディティ価格をインフレ再加速要因として認識しておきたい。

図表15
図表15

藤代 宏一


本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。