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2022.12.16
欧州経済
欧州金融政策
英国経済
物価指標(欧州)
BOEはタカ派一辺倒ではない
~今後も利上げ継続を示唆も、そろそろ利上げ停止も視野に~
田中 理
- 要旨
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- 11月に利上げ幅を75bpに拡大したBOEは、12月のMPCで利上げ幅を50bpに縮小したが、今後も更なる利上げが必要になるとの見方を示唆。マイナス成長転落や物価のピークアウトが確認される一方、労働需給の逼迫や賃上げ圧力が続いており、来年2月のMPCでも50bpの追加利上げを予想。その後は更なる景気鈍化や物価上昇率の鈍化が確認されるとみられ、3月に利上げ幅を25bpに縮小し、様子見に転じる展開を想定する。ターミナル・レートは4.25%と予想する。
BOEは12月の金融政策委員会(MPC)で、利上げペースを前回の75bpから50bpに引き下げ、政策金利を3.5%に引き上げることを賛成6・反対3の賛成多数で決定した。マン委員が前回同様に75bpの利上げを主張、テンレイロ委員とディングラ委員が金利据え置きを主張し、MPC内の意見が3つに割れた。MPC内の大勢意見は、今後の景気が11月の金融政策レポートの見通しに概ね沿った形で推移する場合、物価を持続的に2%の目標に収斂させるには、更なる利上げが必要になるとの見方で一致している。先行きの不確実性は大きいが、今後の見通しがインフレ圧力の更なる継続を示唆する場合、必要に応じて力強く対応することを示唆している。
11月の金融政策レポート発表後の経済指標は区々。10月の月次GDPの上振れを受け、BOEは10-12月期の実質GDP成長率が前期比▲0.1%と、11月の見通し対比で0.2%ポイント上振れると予想。失業率は10月までの3ヶ月平均で3.7%とやや上昇し、労働需給の逼迫が多少和らぐ兆しもみられるが、同月の賃金上昇率が前年比+6.9%と、11月の見通し対比で0.5%ポイント上振れした。11月の消費者物価が前年比+10.7%と11月の見通し対比でやや下振れし、10月の同+11.1%から上昇率が鈍化したが、これは政府によるエネルギー料金の凍結が寄与。来年4月からの1年間は上限金額を年3000ポンドを引き上げたうえで凍結を継続する。前年比でみたエネルギー料金の押し上げ幅は縮小が予想され、BOEの想定では、来年4~6月期の物価を11月の見通し対比で0.75%ポイント押し下げる。秋季予算に盛り込まれた財政方針は、2024~25年度以降の引き締め規模が大きい。BOEは11月の見通し対比で、向こう1年の成長率の水準を0.4%押し上げ、向こう2年で横這い、向こう3年では0.5%の押し下げにつながると予想している。
英国各地でストライキが頻発するなど賃上げ圧力が高まっており、今回の声明でも「力強い対応が必要になる」との言葉が維持されたことから、来年2月のMPCでは50bpの追加利上げを予想。その後は更なる景気減速の兆しや物価上昇率の鈍化が確認されるとみられ、3月に利上げ幅を25bpに縮小し、様子見に転じる展開を予想する。BOEのターミナル・レートは4.25%と考える。大幅な景気後退に陥れば、早期の利下げ転換も考えられるが、当面は物価の高止まりが続き、景気後退の深さも限られるとみられ、しばらく様子見を続けると予想する。
田中 理
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